『ケララ秘伝
暮らしのアーユルヴェーダ』
伊藤武・田村ゆみ共著
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『アーユルヴェーダと〇〇 vol.1 パンチャカルマ基本編』田村ゆみ著
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ピッパリーとは、胡椒のようなピリリとした辛味のあるアーユルヴェーダハーブです。
英語:Long pepper、ロングペッパー
サンスクリット語:Pippali शिग्रु
和名:コショウ科ナガコショウ(長胡椒)
学名:Piper longum
漢方:ヒハツ(畢撥)
胡椒とは若干風味が異なるので、料理に使う時はまずは少量から試してみるのがおすすめ。
今齧りながらこの記事を書いているのですが、かなり辛い!
AROUND INDIAにとっては、お料理よりもお薬の原料として馴染みがあります。
最初にチャイの作り方を教えてくれたアーユルヴェーダ仲間がピッパリーを使っていたので、ときどきチャイに入れてます。
ホール▼
その歴史は古く、伊藤武先生によると、その昔ケララの胡椒貿易ではこの長胡椒がよく取引されていたそう。なんとローマ帝国時代の西洋のレシピにも残っているそうです。
伊藤先生のお話は、AROUND INDIAとの共著ケララ秘伝 暮らしのアーユルヴェーダや、コラボ講座でどうぞ。
ピッパリーは、つる性の植物。大きな木に絡み付いていたり、壁についていたりします。
実と根っこを使用します。
通常乾燥させたものを使うので、温める作用をもっていますが、生を使用する場合は、冷ます作用になるので注意しましょう。
生:冷ます性質
乾燥:温める性質
アーユルヴェーダ三大古典のひとつCharaka Samhitaによると
未熟な緑色のピッパリーは、カパを高め、甘味、重性、粘性。
乾燥させたピッパリーは、カパとヴァータを落ち着かせ、辛味、温性、催淫性となります。
ちなみに黒胡椒(マリチャ)は、それほど温性ではなく、非催淫性、軽性、味がよく、食欲増進、カパとヴァータを落ち着かせると書かれています。
アーユルヴェーダのお薬の中で、とっても重要な役割を担っているピッパリー。
AROUND INDIAが暮らしのアーユルヴェーダでもオススメしているのが、トリカトゥ(Trikatu、トリカツ)というお薬です。
これがとっても簡単で、乾燥した生姜・胡椒・長胡椒のパウダーを1:1:1で混ぜるだけ。
トリカトゥは、消化不良、肥満、喘息、咳、フィラリア、慢性鼻炎などに良いとされていて、外食が増える旅行に持参するのもおすすめ。
滋養強壮薬チャヴァナプラーシュにも入ってます。
その名を冠したピッパリー・アサヴァム (Pippali asavam)という発酵させた薬酒、Pippalyadi Thailamというオイルなどもあります。
数多くのお薬の原料として用いられています。
お薬に加工されたものだけでなく、「ピッパリーを煮出して飲むように」と処方を受けている患者さんもいました。
日本では近年、高血圧に良いものとしてヒットしています。通り名はヒハツ。
大正製薬は、長年の生薬研究から、ヒハツ由来ピペリンが高めの血圧を改善する機能に着目し、2011年、「ヒハツの血圧改善機能」に関する特許を取得しました。
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沖縄のものは、近似種のヒハツモドキ(ジャワ産の長胡椒 学名:Pepper retrofractum)と呼ばれます。
地域によって固有の名前で呼ばれていて、フィファチ、ピパーチ、ピーヤシ、ピパーツ、ピパチ、ヒバーチ、ヒハチなどなど。
沖縄では、石垣に長胡椒が生えている姿をよく見かけました。
春と秋に実を収穫するそうなのですが、6月もたくさん実をつけていましたよ。
沖縄県におけるヒハツモドキの地理的分布と生育環境の特徴によると、「与那国島、黒島、竹富島、石垣島、宮古島、沖縄本島、伊江島、久高島で発見。大東諸島では報告例はない」とのこと。
沖縄ならどこでも生えているというわけではないのですね。
沖縄・石垣島で出会ったヒハツモドキの葉を使ったメニューは、オムレツ、ソーセージなどでした。
石垣島のJAのファーマーズマーケットゆらてぃく市場で葉を購入してみました。
そのままかじると、最初は少し青っぽい味。噛んでいるうちに、ピッパリーらしい味がやってきました。
天ぷらにするのもおいしいそうです。
ヒハツモドキの実は、沖縄料理屋さんのテーブルに、胡椒のように置いてあることが多いのでチェックしてみてくださいね。
インドのドクターたちにも確認しましたが、ヒハツとヒハツモドキは同じものではありませんが、同じように使って問題ないでしょう。
日本でも、漢方薬を扱う中屋彦十郎薬舗さんは、”コショウ科のインドナガコショウの未成熟果穂の乾燥品 またはコショウ科のジャワナガコショウの未成熟果穂の乾燥品である。”と、同じように扱われています。
日本ではヒハツモドキの方が、入手しやすいです。カルディや沖縄食材店などで購入可。
(一時期、インド産のヒハツもカルディに売っていましたが、後に見かけなくなりました)
ヒハツモドキのパウダー▼
AROUND INDIAオンラインストアでは、石垣島もだま工房のものをお取り扱いしています。国産アーユルヴェーダハーブ「ピパーチ、長胡椒、ピッパリ」パウダー 15g|日本・石垣島
生葉は、スリランカにならって、サンボル(簡単な和え物)にするのもおいしそう。
栽培方法も下記のページに記載されていますよ。ヒハツ(ロングペッパー)の種 – マルシェ青空
木村植物園には、タイの胡椒の苗が売っていましたよ。
プランターですくすく育ちましたが、猛暑の中インド旅に出かけ、枯らしてしまいました
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