トゥルシー/トゥラシーとは?
トゥルシーとは、ホーリーバジルのことです。トゥルシというのは北インドのヒンディー語で、サンスクリット語ではトゥラシと呼びます。ここでは、通り名であるトゥルシーで呼びますね。
インドでは家庭でもよく育てている植物です。何かあった時に、とても助かるからです。トゥルシーの木自体が祀られているのも多く見られます。
英語:Holy Basil
サンスクリット語:Tulasi तुलसी
和名:カミメボウキ(神目箒)
学名:Ocimum sanctum
神目箒という和名は、江戸時代、目に種を入れると、ゴミが取れることからきているそうです。
トゥルシーの種類は多く、一番薬効があるとされているのは、クリシュナトゥルシ。紫色が特徴です。
アーユルヴェーダでは、ラーマトゥルシー、ヴァーナトゥルシーもよく利用されます。
トゥルシー/トゥラシーの効能
お薬には、葉・花・種・根っこを使用し、温める性質があります。
- カパ/ヴァータ性の疾患を落ち着かせる
- 痛み
- 皮膚疾患
- 食欲増進
- 消化
- 寄生虫の侵入
- 尿量を増やす
- 咳・熱
- 口内炎
- 口腔疾患
- ストレス
- 心・神経・感情を落ちつかせる
- 汚染物質から守り免疫機能を強化する
アーユルヴェーダ三大古典のひとつAstanga Hrdayaによると、しゃっくり、咳、毒、喘息、脇腹の痛み、口臭に良いと書いてあります。
日本では、ストレスケア、抗酸化作用、風邪の予防などに人気が高いです。
注意
熱の質があるので、体に熱が溜まりやすい人(ピッタ)は使用量を控えましょう。
また、大量に摂取した男性曰く、性欲が激減したそうです。
トゥルシーすごい!
AROUND INDIAが、最初にアーユルヴェーダ病院でトゥルシを処方されたのが2008年のこと。
寝ている間に、背中に虫刺されのような痒いものが約50ヶ所もできていました!現地では、アリではないかという意見が多数。
院長先生に丸薬を処方していただいて、潰してトゥルシの絞り汁を混ぜて塗布するようにと言われました。
インドで学んでいたとき、おもしろいように、授業で習ったことを実践する機会がすぐに訪れました!
このときも、虫刺されのような跡は見た目も気持ちが悪いし、すごく痒くて嫌だけど、トゥルシを使ってみられるのは楽しみでした。
「トゥルシーはどこで買えますか?」と先生に確認すると
「トゥルシーは売っていないよ。家に生えているもの」とのご返答。
「ゆみたちの家には生えてなかったかな?ご近所からもらいなさい。」
手に入れる=お店で買うという思考が先にきてしまいましたが、カヌールでの暮らしでは買えないものが多いのも新鮮でした。
院長先生の指示通り、毎日そのお薬をつけると、跡形もなく消えました。
7年後、また手足の柔らかい部分をたくさん刺されました。今度も原因はわかりません。
スンダルバン Sundarbarnという西ベンガル州とバングラデシュにまたがる世界自然遺産に行ったときのことで、固有種が多く生息している場所。
最初は見た目が大したことなかったので、掻かず触らずで耐えていました。
1週間経っても、良くなるどころか、痒みも赤みも日々増すばかり。
シャワーなどで温まった後など、より赤みが増すので、半袖から出ている部分を見た方から「大丈夫?」と聞かれてしまうほどになっていました。
急遽、遠く離れたカヌールの院長にご相談。
ターメリックとトゥルシーの絞り汁を混ぜて塗り、内服するようにとの指示をいただきました。
宿泊していたホテルの従業員にチップを渡して、先日テラスで見つけておいたトゥルシーと、ターメリックを毎晩用意してもらいました。
一晩で赤みはほとんどひき、翌日になると痒みももかなりひき、3日ほどできれいに治りました!
個人の感想ですが、アーユルヴェーダは時折びっくりするほど早く効きます。
アーユルヴェーダと出会う前は、自然のものは効きめがゆるやかで、治るのも時間がかかりそうなイメージでした。ただ経験がなかっただけなのですが。
今は「市販薬よりよっぽど早く・効果あって・持続する」と思うこともしばしば。
簡単に手に入り、安価で、いろんなものに効くというのは、アーユルヴェーダにとっては良い薬の条件。
でも企業にとっては、そんなものを開発してしまったら商売あがったりですね。
インドのご家庭でのトゥルシー
ケララの村のお家では、おばあさまがトゥルシーをとてもとても大切にしていました。
ヴィシュヌ神に捧げるものとしてヒンドゥー教では大切にされてきたようです。
クリシュナ神は、ヴィシュヌの化身です。
一晩水に浸したトゥルシー水を、朝飲みます。

お庭で摘んだトゥルシーをはじめとした植物を捧げてお祈りします。
トゥルシーは良いところに育つと言われています。
たくさん摘んだトゥルシーは、乾燥され積まれていました。

トゥルシーはシャンプーにもなります。お嫁さんに作っていただきました。

トゥルシーを飲んでみよう
日常でトゥルシーを摂るなら、お茶が気軽です。
飲んだ後のティーバッグをお肌にぺたぺたやるのも好きです。なにせ皮膚疾患に良いものですから。
インドのグジャラート州では、ガツンとスパイスの効いたアーユルヴェーダスパイスチャイに、トゥルシーパウダーを入れていました。

沖縄・八重山旅には、はじまりのヨガの理恵さんにいただいたお手製トゥルシーチンキと、ターメリックを持っていきました。
西表島でなにかに刺されたときに塗っておきました。すると痒みと腫れが早く落ち着きました。
一週間後、跡はまだ残っていますが、痒くないので普段忘れています。傷はムリヴェンナオイルを塗って放置すればきれいになるでしょう。
インドの西洋医学の製薬会社Apollo Pharmacyのトゥルシーエキス Tulsi Extractを使ってみました。
5種のトゥルシーの木全体を使用して蒸留したもの。Shyam Tulsi、Rama Tulsi、Sursa Tulsi、Nimbu Tulsi、Van Tulsi。あ、ちょっと添加物も入っていました。

ドリンクに入れると書いてありますが、うーーん、おいしくない。
後味も強くて苦手でした。
こちらも、チンキのように外用に使うことにします。
トゥルシの摂取は、お茶が手軽でおすすめ!
もだま工房からやってきた、国産トゥルシーのお茶をAROUND INDIAオンラインストアでお取り扱いしています。
他のトゥルシティーが苦手だった方が、「これはおいしい」「飲みたくなる」とおっしゃった一品です。
そうそう、トップの写真は、もだま工房にお邪魔したときに撮影したトゥルシーです。
トゥルシの蒸留水も入荷しました。
トゥルシーを栽培してみよう
暮らしのアーユルヴェーダ講座の生徒さんから、クリシュナトゥルシーとラーマトゥルシーの種をいただきました。
トゥルシー栽培は2度目。外出が多いのでちょっと不安ですが、うまく育ちますように!
トゥルシーの種のご購入はこちら。
苗も売っています。種よりも簡単・確実。すぐ使えますね。
種まき
ご近所から飛んできた種で生えたバジルがあるほどなので、そのまま蒔くだけで育ちそうですが、今回は大切に育ててみましょう。
- 種を水に浸す
ダイエットにも人気、ゼリー質が包んだバジルシード状態になります。 - 土に蒔く
土は被さなくていいようです。
つづく。
関連記事
アーユルヴェーダ自然のお薬1:目や消化や自然のお通じに!トリファラ Triphala
アーユルヴェーダ自然のお薬2:カレーリーフ栽培日記
アーユルヴェーダ自然のお薬3:加熱すると毒に?!はちみつ
アーユルヴェーダ自然のお薬4:キュアリングのいらない伝統製法の玉締めごま油
アーユルヴェーダ自然のお薬5:国民的滋養強壮薬「チャヴァナプラーシュ Chyawanprash」
アーユルヴェーダ自然のお薬6:枝歯磨きに皮膚に!苦い苦いニーム Neem
アーユルヴェーダ自然のお薬7:風邪・インフルエンザ・やけどに!ターメリック Turmeric
アーユルヴェーダ自然のお薬8:モリンガ・ドラムスティックを飲んでみよう Moringa
アーユルヴェーダ自然のお薬9:12枚で元気に長生き!?聖なる葉っぱ「トゥルシー/ホーリーバジル Tulasi Tulsi」
アーユルヴェーダ自然のお薬10:目薬特集!原料はハチミツ、トリファラ、ニームに牛の尿!?
アーユルヴェーダ自然のお薬11:世界で作れる先生はただ一人。ほくろの取れる薬
アーユルヴェーダ自然のお薬12:体の中から潤いが溢れるギー Ghee
アーユルヴェーダ自然のお薬13: サフラン 栽培日記
むずかしくない本「暮らしのアーユルヴェーダ」好評発売中