『ケララ秘伝
暮らしのアーユルヴェーダ』
伊藤武・田村ゆみ共著
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『アーユルヴェーダと〇〇 vol.1 パンチャカルマ基本編』田村ゆみ著
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サフラン は、Crocus sativusというアヤメ科の植物。
スパイスとしてのサフランは、雌しべの柱頭を乾燥させたものを指します。
古くから、薬、着色、香料などに使われてきました。
インドでは、北部カシミール産が有名で、重量換算で、世界一高級なスパイスのひとつと言われます。
実際にスーパーマーケットなどで商品を確認してみてください。
他のスパイスより、内容量が格段に少ないんです。S&Bの場合、内容量が0.4gで570円(+税)。
インド料理の黄色いご飯サフランライス、スペイン料理のパエリヤ、フランス料理のブイヤベースなど、世界の料理で活躍しています。
同じく黄色く着色するターメリックで代用されることもありますが、サフランならではの香りや味は出ず、ターメリックの苦味が出ることもあります。
インドの伝統医学アーユルヴェーダの世界では、サフランは立派なお薬。
家庭の医学としても使われます。
病院でも、お顔の美容によく使われるのが「クンクマディタイラム Kumkumadi Thailam」という朱色の美しいオイル。
クンクマディには、サフランだけでなく、ベチバー、甘草、白檀、紅木、インド茜、ヒマラヤザクラ、ごま油が材料として使われています。
塗ると、ほわっと優しく温まる感じで、塗った部位は若干黄色くなります。
にきび、毛穴の黒ずみ、皮膚の色艶をよくするなどの効果があると言われています。
10年ほど前、サフランの価格が高騰して、製薬会社でさえ市販を一時休止して、必要な患者さんだけに処方する事態に陥ったことがありました。
今は、日本にいながらamazonで注文できるなんて、すごい。
他にも、サフラン入りの石鹸や
サフラン入りの洗顔料などもあります。
産地であるカシミール地方では、緑茶などとブレンドして温かい飲み物サフランカワに。冬におすすめ。
ヴァラナシの冬の名物、ふわっふわ食感のマライヨーは大好きなおやつ!
食べ終わった素焼きの器でサフランミルクを飲むんです。
マライヨーについて詳しくは、ふわっふわスイーツマライヨー「Dugdh Sagar」|ウッタルプラデーシュ州・バラナシをどうぞ。
シュリカンド/Shrikhandというデザートもおすすめ。
水切りヨーグルトに、サフラン水少々、砂糖、カルダモンパウダー、刻んだナッツをよく混ぜるだけ。
サフランは、乳製品と相性抜群です。
様々なサフランの研究が行われています。
例えば、鬱(Comparison of Crocus sativus L. and imipramine in the treatment of mild to moderate depression: a pilot double-blind randomized trial [ISRCTN45683816] – PubMed)、
腫瘍やガン(Crocus sativus a natural food coloring and flavoring has potent anti-tumor properties – PubMed )、
抗酸化作用(Antioxidant Properties of Crocus Sativus L. and Its Constituents and Relevance to Neurodegenerative Diseases; Focus on Alzheimer’s and Parkinson’s Disease – PubMed)、
クロシンによる認知症予防、PMS、糖尿病などなど。
国立健康・栄養研究所 食品保健機能研究部 健康食品情報研究室の「健康食品」の安全性・有効性情報によると、サフランの大量摂取はおそらく危険とのこと。特に、子宮に対する刺激作用が強いため妊娠中の使用は避けるようにと注意を促しています。
(インドでは、妊娠中にサフランミルクを飲むとお肌がきれいな赤ちゃんが産まれてくるという考えもあるのですが、それでも体に熱さを感じたら使用をすぐ止めるようにと言われています。飲まない方が安全ですね。)
また、類似植物としてイヌサフランが挙げられます。
No.17008 イヌサフランの誤食による食中毒事例|神奈川県衛生研究所
安いサフランはないのです。
実は、日本産のサフランがとってもおすすめ!
世界では下の写真のように畑で栽培されているサフランですが、国内生産量の約8割を占める大分県竹田市では室内栽培!
しかも!外国産の数倍も有効成分が含まれているとのこと。
外国産サフランと、大分のサフランを比べてみました。
同じサフランといっても、これだけ違います!
この竹田市のサフランは、元々明治35年に神奈川県大磯町の添田辰五郎さんから球根を譲り受けたことに由来します。
添田さんは、お母さまのお薬として処方された高級品サフランを日本で栽培できないかと、球根を輸入して栽培をはじめたのでした。
今のように情報がない時代に、未知の外国産植物をイチから栽培するのは、とても大変だったでしょうね。
神奈川から大分へ渡ったサフラン。今また神奈川に戻り、発祥の地 大磯で普及が進められています。
AROUND INDIAが栽培しているのは、大磯サフランの会が譲ってくださった竹田市の球根です。
飲み物として:大磯サフランの会おすすめレシピは、ペットボトル500mlの水に雌しべ5本を入れて、半日おいて作るサフランティー。
Dr Babu、Dr Madhaviによると、
風邪のとき:牛乳と混ぜて、おでこに塗布する
円形脱毛症:リコリス/甘草、牛乳と混ぜたものを、患部に塗布する
性欲減退:就寝前に、サフランひとつまみを入れたミルクを飲む
他にも、水にサフランひとつまみ、潰したカルダモンを入れて数分煮込んでお茶にするのもおすすめ。少し冷めてから蜂蜜や砂糖で甘みをつけるとおいしい。
サフランミルク(サフランを入れて作ったホットミルク)は、不眠にもおすすめ。
産後の子宮を癒すのにも良いと言われています。
上の写真は、ヒマラヤ地方ダラムサラで多く見かけたサフラン屋さん。
有名産地のカシミール地方から持ってきて販売しています。
大磯サフラン物語を参考にご紹介します。
11月〜4月が土の中
9月〜4月が土の中
まずは球根を入手しましょう。
産地直送 通販 お取り寄せ大分県竹田産 サフラン球根 大以上 30玉入り: JA全農おおいた|JAタウン
購入先でも少し触れましたが、栽培方法に衝撃を受けました。
球根は土に植えず、10月ごろまで風通しの良い冷暗所に置いておくだけ。
水も一切与えません。ただ置いておくのです。
1年目は、トレイに新聞紙を敷き、湿気が溜まらず、空気が通るようにしておきました。
暗くて風通しの良い、倉庫や蔵のようなところが良いそうなのですが、我が家にはないので居間のテーブルの影になるところに置いておきました。
10月ごろ、すべての球根から、無事ニョキニョキと元気に芽(茎)が生えてきました。
11月になると、上品な紫色の花が、次々と咲きました。
軽く花開いたところで花を摘み、雌しべを収穫。
室内栽培は毎日変化が目に入るので、咲いたらすぐに気づくことができていいですね。
すべての球根から複数の花が咲き、立派な雌しべが収穫できました。
3回咲いたものや、白い花が咲いたものもありました。(雌しべは、花の色に関係なく濃赤色)
球根の数に対して、一つの花から大体3輪、一輪につき雌しべ3本、2~3回咲いたので、結構収穫できました。
収穫したものは、室内で乾燥させて保管。
日光乾燥させると成分が飛んでしまうそうなので、必ず室内で乾燥させましょう。
花が終わると、緑の細い葉が繁り、球根はスカスカになりました。ここで土に植えました。
でも翌年、間違いに気付きました!
土に植えるのは、緑の葉がしげる前。
花の咲いた2芽を残して、小さな目は全て欠き、有機肥料を与えて、深さ10cm、間隔10cm開けて植える。
肥沃な大地に植えると、葉が青々と伸び、新しい球根がよく育つそう。
このまま来春まで保管。
梅雨になる前、5月上旬、大磯サフランの会のFacebookに「そろそろ掘り出し」とタイミングがアナウンスされていたので、AROUND INDIAも掘り出しました。
冬を越えて大きく育っていました!
写真を撮り忘れてしまったのですが、球根の下部に1cm弱厚の白くて硬い発泡スチロールのようなものが付いていて、そこから根っこが出ていました。
発泡スチロール様の部分を取ると、一緒に根っこが取れ、小さな球根に分割してしまいました。
さすがにこれは来年は咲かないかも‥と、申し訳ない気持ちに。
そんなとき大磯サフランの会さんから「今年もよかったらどうぞ」とお声がけいただいて、立派な球根を手に入れることができました。ありがとうございます!
今年は、暗く風通しまぁまぁの部屋と、日当たりまぁまぁで風通しの良い部屋に分けて保管しました。
どちらの部屋に置いておいたサフランも、同時期にニョキニョキ芽(茎)が生えてきました。
開花まで、見えるところにおいて成長を楽しみます。
どのサフランも、順調に伸びています。
球根を保管しているときに少し斜めになっていたものは、芽が斜めや下の方から出てしまっていました。
日光に向かって真っ直ぐに伸びるかな?という期待に反して、自由に伸びています。保管時は真っ直ぐに置いておくのがオススメ。笑
花がうっすら透けて見えています。あと何日くらいかな?
14日の夜、葉菜の南インド料理を楽しんでから帰宅すると、花が顔を覗かせていました。
翌朝9時過ぎ、花開いてきたので収穫しました。
分解図。花弁6枚、雄しべ3本、サフランとして活用する雌しべが3本。
暗く風通しまぁまぁの部屋で保存した球根たちも、同じタイミングで咲きました。
これから収穫の日々がはじまります。
収穫の日々が始まるはずでした‥。残念ながら、日当たりまぁまぁで風通しの良い部屋で保管した球根10個中、花が咲いたのは2個。もう葉っぱが覗いているので、今年はダメみたいです。
去年は同じ部屋で全部咲いたのですが、明るかったかな?夏暑かったかな?
一方、暗く風通しまぁまぁの部屋で保管した球根たちは、ぜんぶ咲きました。
そのおかげで、今年もたくさん収穫できました。
花が咲いた球根たちは、小さな芽を欠いて、土に植えました。春まで土の中で過ごします。
土に植えた球根たちが、また咲いていました!
ミラクルサフラン✨
咲かなかったサフランも、ひょっとしたら小さな芽を欠けば咲くかも?
少しだけ期待して欠いてみました。
翌日、花が顔を出しました!急展開です。
そして、ついに満開に。ひとつの芽につき2〜3輪咲いています。
もう今年は無理と諦めていただけに、うれしさも一塩。
たくさん出ていた小さな芽に、力が消耗されていたのかな?
昨年花が終わってから球根を土に植えました。
3月になると、昨年最初に花が咲いた球根は、もう枯れていました。
昨年遅咲きだった球根は、まだ青々としています。
去年わたしが間違った分球をしてしまって咲かなかった、小さな球根からも青々とした葉っぱが出ていますが、量は少ないです。
掘り出す梅雨前までに、大地の栄養をたっぷり吸って、大きな球根に育ちますように。
梅雨を前に、球根を掘り出しました。
三か所に分けて植えていた球根を、順番に掘り出します。
まずは、昨年遅咲きだった球根から。
去年植えた時よりも、若干小さくなっているような気がしますが、しっかりした球根です。
続いて早咲きだった球根です。何度も咲いて、とても元気でした。
あら?
球根の皮だけで、中身がいません。
おかしいですね。もっと掘ってみましょう。
あらら??
またもや皮だけ。。。
結局、早咲き球根は全て消滅していました。掘り出しタイミングが遅かったのでしょうか?
続いて、おととし大磯サフランの会からいただいて、分球に失敗して昨年は花を咲かせなかった球根を掘り出し。
こちらは1cmくらいと、大きくなっていませんでした。そのまま土に植えたままにしておきましょう。
元気だった球根は、水洗いして冷暗所へ保管しました。
今年も元気に花を咲かせますように。
つづく