
『ケララ秘伝 
暮らしのアーユルヴェーダ』
伊藤武・田村ゆみ共著
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『アーユルヴェーダと〇〇 vol.1 パンチャカルマ基本編』田村ゆみ著
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一般的に、インドのイメージを尋ねると
「こわい」「あぶない」「お腹をこわす」「汚そう」
など、ちょっと残念なイメージのオンパレード。
それも仕方がないと思います。
TVから映し出されるのは、眼光鋭い人々!
人・物・動物・車両が密集した活気ある市場。
奇天烈なことをする人。
日本の日常からかけ離れた、混沌とした非日常の世界。カオス…。
最近、暮らしのアーユルヴェーダ講座主催のKairos Tokyoさんと打ち合わせ中に思い出したのですが、AROUND INDIAもインドに行く前は、体力が必要そうな国だと思っていました。
準備として、当時人気だった「ビリーズ・ブートキャンプ」を一ヶ月コンプリートしました。懐かしい。
 ポチップ
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実際のインドは、想像を裏切りました。
屈強な肉体も、強靭な精神力もいらない、ちょっと勇気を持って飛び込めば柔らかく受け入れてくれる場所でした。
行き先がアーユルヴェーダ病院だったので、病気で心も体も弱った状態の方も、遠い国から来ていました。
AROUND INDIAおすすめのインド旅前準備は、スパイス料理に親しんでおくこと。
ケララで水にあたった方は、まだお会いしたことがありませんが、慣れないスパイスで疲れて調子を崩す方が時々いらっしゃいます。
梅干しや緑茶などの、日本を感じるさっぱりしたものを持っていくのもおすすめ。ご飯にかけてお茶漬けみたいいただくこともできますしね。
インドに行く前は、日本でインド料理を食べましょう。
2008年、AROUND INDIAがアーユルヴェーダを学びに向かったのは、ケララ州北部のカヌール(KannurまたはCannanore、カンヌール)という町でした。
ケララ州には14の県があって、北から二番目がカンヌール県です。
ヤシの木がモリモリ茂る緑豊かな場所。人はニコニコ。そこら辺に牛や犬がいて、建物は立派で、物乞いはほとんど見かけず、サドゥーという修行僧もいません。日本の田舎のような懐かしい雰囲気もありました。
一方、ショッピングセンターもあるし、清潔な食堂もあって、想像していたインドとは全然違っていました!


ケララ州は、インド人にはハネムーンで人気。いつかは行きたい憧れの場所。
フランス人が死ぬまでに行きたい場所のTOP5?!に選ばれたこともあるのだそう。
日本では地球の歩き方にも少ししか載っていませんが、欧米ではかなり有名な場所だったみたいです。
さらに2023年には、NYタイムズ紙に世界の行くべき場所のひとつに選ばれました。

更に驚いたのは、カヌールというのは、ケララ人にとっても特別視されている場所だったこと。
「良いところ」「ピュアな心を持っている」「強くて優しい人が多い」「伝統や本物が残っている」
そんなイメージのある土地だそうです。
政治的な側面で衝突もあると聞きますが、滞在中に気になったことはありません。
ブラックな一面は『9つの人生』という本からも読み取れます。
AROUND INDIAのイメージとは違ったので、知らない町のことのように感じました。
もし行く前にこの本を読んでいたら…ちょっと警戒してしまったかもなぁ。
 ポチップ
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歴史的にみると、インドの中でも外国と関わりが強かったエリアで、ポルトガル、オランダ、フランス、イギリス、ドイツからは狙われ、アラブ、ユダヤ、ペルシャ人は交易相手だったようです。
AROUND INDIAにとっては、たまたまアーユルヴェーダ・ヨガ・カラリパヤットゥを学んだのがこの土地でしたが、どれほどその後の活動の助けになってくれたことか✨
カヌールというか、ケララ州北部でのおすすめは、アーユルヴェーダ、カラリパヤットゥ、テイヤム、ビリヤニなどのごはん。
そうそう、カヌールやその隣カリカット(コーリーコード)は、世界的にも有名な質の良い織物の産地でもあります。カリカットはキャリコ calicoという布がヨーロッパに輸出されていた土地として有名です。
「昔は、ここに布屋さんがずらりと並んでいたのよ」
とおばちゃんが懐かしそうに昔話をしてくれることも。
ケララの有名観光地コーチン(コチ)、コヴァーラムビーチ、アレッピーなどと比べると、観光に弱いのは否めません。いや、激弱といっても過言ではありません。外国人観光客は、ほとんど見かけませんから。
でも、ちょっと違うケララを体験することができます。
たとえばテイヤム Theyyam。
神降ろし(生き神様)のお祭で、このエリア限定なのに400以上もの種類あります。地元民からも外国人からも人気。

ビーチは憩いの場です。
パヤンバランビーチ Payyambalam Beachには、週末の夕暮れ時には人がいっぱい集まってきます。
屋台のアイスクリームや炒りピーナツが人気です。
ムラッピランガードドライビングビーチ Muzhappilangad driving beachは、車で砂浜を疾走できるアジア最長のビーチです。


アーユルヴェーダ好きには堪らない町でもあります。
病院、薬局、診療所、本屋、原材料問屋さん。至るところでアーユルヴェーダを目にすることができます。
普通のおうちに見えて、実はお薬を作っていたり、アーユルヴェーダドクターもたくさん住んでいますし、AROUND INDIAの周りがアーユルヴェーダやカラリパヤットゥ関係者が多いからか、家族にひとりはアーユルヴェーダドクターがいるイメージ。
ラジオから、ちょこちょこアーユルヴェーダという言葉が聞こえてきたり、雑誌や新聞をめくればアーユルヴェーダ関連の広告。
でも、かわいいものなどのショッピングは、断然北インドに軍配が上がります。
カヌールには、2017年インドの手仕事を多く取り入れているインド服のお店fabindiaができました。
オーガニック食品なども売ってます。



このあたりは、ヒンドゥー教・イスラム教・キリスト教の文化や食生活が融合しています。
「インドは牛を食べない」というイメージが強いですが、それはヒンドゥー教徒にとって神聖な存在だからで、イスラム教徒、キリスト教徒など、外国由来の牛肉を好む宗教もあります。
ケーララでは、ヒンドゥー教徒のお宅で出てきた牛肉料理が出てくることも!

ノースマラバールと呼ばれるこの地域は、イスラム系ごはんの美味しさも有名。
ビリヤニという炊き込みご飯も有名です。マラバールビリヤニ、カヌールビリヤニ、タラシェリビリヤニなどと呼ばれます。


インド=ボッタクられるというイメージがありましたが、まるで逆。
お世話になることばかりでした。
商品には基本的に定価があるし、オートリキシャはメーターを使うので交渉要らず。
お店の人が安くしてくれたり、プレゼントしてくれることも度々あります。
「どうしてこんなにも人に優しくできるんだろう?」と、不思議なくらい。
見返りを求めない優しさ、無言で差し出してくれる手。それに感動して、自分からも優しくしたくなるのです。
もちろん、しつこい人、お涙ちょうだい話をしてチップを狙う人もいますけどね。
インド初体験の方や、アーユルヴェーダやカラリパヤットゥを学ぶ環境としてこのカヌール付近をおすすめする理由の一つが、地元の人が地元を愛しているということ。
地元の人に愛されている土地は、気持ちがいいですね。
その地元愛は、歌にもなっています。PVに登場するのは、カヌールのいろんな場所、テイヤムや宗教の融合。
AROUND INDIAの友人がこの曲のマーケティングをしていて、おすすめしてくれました。この曲を別の友人に教えたら、すごく喜んで、また別のカヌール好きに伝わっていきました。すごい連鎖反応でした。
この土地を誇りに思っています。
他宗教を認める風土があるので、多文化を持つわたしたちにも優しいのかもしれません。
しかし、文化の違う外国であることは忘れてはいけません。ちょっとした注意は必要です。
宗教に関して失礼な発言をしない。
女性は肌の露出を控える。
夜中に一人で歩かない。
嫌なものは、はっきりと断る。
異性にベタベタしない。
少しの気づかいで、おだやかに過ごせるはず。
インドに行ったことがあるけれど、インドで一人で行動するのはコワイと言っていた女性も
「カヌールなら大丈夫!」
と言っていました。



何ヶ月滞在しても、おいしくて、一食一食が楽しみ。
あまりに気に入ってしまい、帰国後もケララ料理のお店を探し周ってしまったほど。
いわゆる南インド料理と分類されるものです。
お米がメインで、それに合う野菜料理、魚や貝にイカなどのシーフード料理。
チキンやビーフの肉料理。
お米からは、プットゥ、イドゥリー、アッパム、ヌールプットゥ、ネイパッティリ、アリパッティリといった、蒸したり揚げたり焼いたりした主食に七変化。
それぞれに合うカレーおかずのバリエーションがあるのです。宗教によっても味の好みや食べ物の傾向も違うので、それだけバリエーションも増えます。
旬の食材を利用するので、季節ごとの味が楽しめます。

辛いのが苦手な方は、シャワルマもおすすめ。



果物も豊富!
アーユルヴェーダトリートメント中はおすすめしませんが、シェイクもイスラム系パフェのファルーダもおいしい。

ラマダン中だけのイスラム系のスナック類も楽しみの一つ。
結婚式で食べるビリヤニや、オナムというお祭のときのサッディヤというご馳走。
行くタイミングによって、楽しみ方もいろいろです。
アーユルヴェーダを学んだり、パンチャカルマを受けたり、テイヤムを楽しんだり、町歩きしたり。
派手な場所ではありませんが、過ごしやすい暮らしのある場所。
カンヌール駅周辺だけでも楽しめるので、ぜひ寄ってみてくださいね。
