『ケララ秘伝
暮らしのアーユルヴェーダ』
伊藤武・田村ゆみ共著
Amazon
『アーユルヴェーダと〇〇 vol.1 パンチャカルマ基本編』
オンラインストア
トゥルシーとは、ホーリーバジルのことです。
トゥルシは北インドのヒンディー語で、アーユルヴェーダの古典で使われているサンスクリット語ではトゥラシと呼びます。
この記事では、通り名であるトゥルシーで呼びますね。
トゥルシーは、インドでは家庭でもよく育てている植物です。
何かあった時に、とても助かるからです。トゥルシーの木自体が祀られているのも多く見られます。
英語:Holy Basil
サンスクリット語:Tulasi तुलसी
和名:カミメボウキ(神目箒)
学名:Ocimum sanctum / Ocimum tenuiflorum
和名の神目箒の由来は、江戸時代に目に種を入れるとゴミが取れることからきてるんですって。
目に種を入れるのは痛そうなイメージがありますが、そのまま入れるわけではありません。
バジルシードは、水分を含むと周りにプルプルとしたゼリー状の物体ができるのです。
そのゼリーができている状態で目に入れると、ゴミがくっつくという仕組みだそうですよ。
トゥルシーの種類は多く、一番薬効があるとされているのはクリシュナトゥルシ。紫色が特徴です。
アーユルヴェーダでは、ラーマトゥルシー、ヴァーナトゥルシーもよく利用されます。
お薬には、葉・花・種・根っこを使用し、温める性質があります。
アーユルヴェーダ三大古典のひとつAstanga Hrdayaによると、しゃっくり、咳、毒、喘息、脇腹の痛み、口臭に良いと書いてあります。
日本では、ストレスケア、抗酸化作用、風邪の予防などに人気が高いです。
熱の質があるので、体に熱が溜まりやすい人(ピッタ)は使用量を控えましょう。
また、伊藤武先生のご経験によると、大量に摂取したら性欲が激減したそうです。
AROUND INDIAが、最初にアーユルヴェーダ病院でトゥルシを処方されたのが2008年のことでした。
寝ている間に、背中に虫刺されのような痒いものができていました。数えてみると50こほどもあります!
「アリではないか?!」という意見が多数。
院長先生にお薬を処方していただきました。
「丸薬を潰してトゥルシの絞り汁を混ぜて塗布するように」と言われました。
インドでの学びはとても不思議で、習ったばかりのことを実践する機会がおもしろいように訪れるのでした!
このときもそうです。大量の虫刺されのような見た目は気持ちが悪いし、すごく痒いけれど、トゥルシを使ってみるのは楽しみ。
「トゥルシーはどこで買えますか?」と先生に確認すると
「トゥルシーは売っていないよ。庭に生えているもの」とのご返答。
「ゆみたちの家には生えてなかったかな?ご近所からもらいなさい」
手に入れる=お店で買うという思考が先にきてしまいましたが、カンヌール(カヌール)での暮らしは買えないものが多くて、それも新鮮でした。
トゥルシーをご近所さんにいただいて、指示されたお薬を毎日つけていると跡形もなく消えました。
それから7年、スンダルバン Sundarbarnという西ベンガル州とバングラデシュにまたがる広大な世界自然遺産に行ったときに、また手足の柔らかい部分をたくさん刺されてしまいました。今度も原因不明。
固有種が多く生息している地域で、虫も珍しいものがいるのかもしれません。
刺された当初は、赤みもひどくなかったので掻かず触らず、ぐっと耐えていました。
おかしいと思ったのは1週間ほど経ってから。良くなるどころか、痒みも赤みも増すばかりなのでした。
体が温まるとひどくなるので、「大丈夫?」と知らない人に聞かれるほどになっていました。
2500km離れたカンヌール(カヌール)のアーユルヴェーダドクターに相談。
ターメリックとトゥルシーの絞り汁を混ぜて塗り、内服するようにとのことでした。
宿泊していたホテルのテラスにトゥルシーがあるのを見ていたので、従業員に事情を話してトゥルシーとターメリックを用意してもらいました。
一晩で赤みはほとんどひきました!
翌日には痒みももかなりひいて、3日ほどできれいに治りました!
アーユルヴェーダは、時折びっくりするほど早く効きます。
アーユルヴェーダと出会うまで、自然のものは効きめがゆるやかで治るのも時間がかかりそうなイメージをもっていたのですが、今は「早く効き、効果も高く、効果が持続する」と感心することがしばしば。
簡単に手に入り、安価で、いろんなものに効くものは、アーユルヴェーダにとっては良い薬。
その考えかたも、AROUND INDIAは大好きです。
ケララの村のお家では、おばあさまがトゥルシーをとてもとても大切にしていました。
ヒンドゥー教では、ヴィシュヌ神への捧げものとして大切にされていました。
ヴィシュヌの化身であるクリシュナ神が、こちらのお宅には祀られていました。
おばあさまは毎日の日課として、夜カップ1杯の水にトゥルシーの生葉を浸けておき、翌朝飲みます。
お庭でトゥルシーやお花を摘んで、捧げてお祈りします。
トゥルシーは良いところに育つと言われているんですって。
たくさん摘んだトゥルシーは、乾燥させて積んでありました。
トゥルシーはシャンプーにもなるんです。
義理の娘さんが、他のハーブと合わせて作ってくれました。
オイルを塗って、軽くマッサージをして、シャンプーしたら、すっきり爽やかになりました。
お茶にすると手軽に、日常的にトゥルシーを摂ることができます。
乾燥なので保存しておくこともできるし、ティーバッグなら飲んだ後にお肌にぺたぺたと貼り付けてパックにしたりできます。トゥルシーは、皮膚疾患に良いものですから。
西インドのグジャラート州では、ガツンとスパイスの効いたアーユルヴェーダスパイスチャイに、トゥルシーパウダーを入れていましたよ。
インドの西洋医学の製薬会社Apollo Pharmacyのトゥルシーエキス Tulsi Extractを飲んでみました。
5種のトゥルシーの木全体を使用して蒸留したもの。Shyam Tulsi、Rama Tulsi、Sursa Tulsi、Nimbu Tulsi、Van Tulsi。あら、ちょっと添加物も入っていました。
ドリンクに入れると書いてあったので、飲んでみましたが、うーーん、おいしくない。
後味も強くて、AROUND INDIAは苦手でした。
こちらは、チンキのように外用に使うことにしましょう。
トゥルシの摂取は、お茶が手軽でおすすめ!
もだま工房の国産トゥルシー茶をAROUND INDIAオンラインストアでお取り扱いしています。
他のトゥルシティーが苦手だった方も「これはおいしい」「飲みたくなる」といった一品です。
そうそう!このページのトップの写真は、もだま工房にお邪魔したときに撮影したトゥルシーです。
トゥルシの蒸留水も入荷しました。
暮らしのアーユルヴェーダ講座の生徒さんから、クリシュナトゥルシーとラーマトゥルシーの種をいただきました。
トゥルシー栽培は2度目。外出が多いのでちょっと不安だけど、うまく育つといいな。
トゥルシーの種のご購入はこちら。
苗も売っています。
種よりも簡単・確実。すぐ葉っぱが使えます。
うちには、お隣から飛んできた種で生えたバジルがありました。
そのまま蒔くだけでも育ちそうですが、大切に育ててみるなら、最初に種を水に浸してゼリー状の膜を作っておきましょう。
土に蒔く時は、土で覆わなくていいそうですよ。
外で栽培していたら、冬になる前に枯れました。室内に移動すると、冬も大丈夫だそうです。