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昔々から伝わるアーユルヴェーダマッサージの数々。
そのバリエーションの一つに、お団子状の用具を使うものがあります。
このお団子状(ボール、巾着)のものを、アーユルヴェーダの本場ケララの言葉でキリ(Kizhi)と呼びます。
英語ではBolus bag(ボーラスバッグ)、タイではハーバルボールマッサージ、他にもPinda swedaやPotliと呼ばれています。
数あるアーユルヴェーダの発汗法のうちの一つで、ケララマッサージとも呼ばれています。
キリの中身は、薬効の高い特別なお米、スパイスなどのパウダー、薬草、卵などさまざま。
温めた煎じ薬、薬用牛乳、オイルなどに浸けてマッサージします。
中身や方法によって、〇〇キリと呼び名が変わります。
ケララの伝統的なマッサージで、アーユルヴェーダ病院でも 伝統武術 カラリパヤットゥ の診療所でも、頻繁に用いられています。
はじめてキリを使ったマッサージを受けたのは、アーユルヴェーダを学びにインドへ行くずっと前のこと。
タイの涅槃寺 ワット・ポーでした。
このお寺はタイ古式マッサージ発祥の地として有名で、敷地内のセンターでマッサージを受けることができます。
マッサージ着に着替えて、古式マッサージと蒸したハーブボール(キリ)を使ったトリートメントの2種類を受けました。
タイのキリは、レモングラスなど、タイハーブならではの爽やかな良い香りがしていました。
終わった後、そのまま服を着替えて帰るのですが、乾いた成分が毛に絡まりちょっと痛かったです。
タイのハーブボールは、Amazonでも売っています。
まずは電子レンジで温めて使うフェイシャル専用のもの。
中身はお米、ショウガ、レモングラス、コブミカン、ターメリック、マンゴスチン、アロエベラ、タマリンド。
続いても電子レンジで温めて使うものですね。こちらは体用で冷え肩こりなどにおすすめだそう。
中身は、ショウガ、ターメリック、レモングラス、ベルガモット、ウコン、タマリンド、パンダン、コブミカン、ユーカリ、パチョリ、カンフル、黒檀。
そのボールを使ったマッサージに再び出会ったのが、アーユルヴェーダを習いに行ったインド・ケララ州でのことでした。
そこにはタイマッサージセラピストも多く学びに来ていました。
理由を聞いて納得!タイ古式マッサージの始祖は、ブッダの侍医を務めていたインド人のアーユルヴェーダドクターJivaka(ジーワカ)と考えられています。
インドから各地へと渡ったアーユルヴェーダは、その土地に合わせた変化をしながら息づいていたのです。
キリを使ったマッサージは、ケララマッサージと呼ばれるほどケララ州では頻繁に活用します。
よく使うキリの種類は、
キリを作る時は、最初に具を準備します。
布を広げ、中央に具を置き、四隅をまとめて包み、紐で結び、取っ手付きのボール形状にします。
結び方の手順は、わたしが学んだ2つの施設、アーユルヴェーダ病院と カラリパヤットゥ の診療所で異なりました。処方も作り方も、それぞれ引き継がれてきた方法で行われています。
タイのハーバルボールを解体してみると、これもまたちがう方法でボール状になっていました。
キリを形作る上でのポイントは、激しいマッサージならしっかり崩れないように結び、軽く押し当てる程度ならある程度適当でも大丈夫。
中身は、乾燥生姜やディルなど、スパイスや根っこなどをパウダー状にし加工したもの。ポディは「粉」という意味です。
カラリの診療所では、打ち身や捻りなど外傷性の痛みの患者さんが多いため、痛みに良いとされる ポディキリ は欠かさず用意しています。
ナヴァラキリ は、薬効のすぐれたケララ特産の赤米ナヴァラと、牛乳などを煮込んだしっかりしたお粥。いかにも栄養がありそうな見た目で、牛乳の甘い香りが漂います。
皮膚疾患や滋養などにオススメで、一回ではなく7日間など連続でのマッサージ。マッサージ後、キリを開いてお粥状になった中身を全身や顔に塗ってくれるのですが、どろんこ遊びのようで楽しいです。施術中は、体が冷えやすいです。ペーストを拭った後は温かいオイルを塗布します。
スリランカの国立アーユルヴェーダ病院でも、ケララのナヴァラライスを使うと言っていました。
AROUND INDIAはアーユルヴェーダ病院でのパンチャカルマ、アーユルヴェーダリゾートでの14日間の滋養トリートメント、 カラリパヤットゥ 師匠の14日間トリートメントなどで、 ナヴァラキリ が処方されてきました。
元気を保つために、よく処方されます😊
エラキリ は、ドラムスティックの葉っぱ(モリンガ)などヴァータを減らす作用のあるものを刻んで、削ったココナッツなどを足してオイルで炒めて作ります。
その様は料理そのもの!香りもおいしいので、作っているときに近くにいるのが好きです。
元気な葉を大量に摘んできて、新鮮な状態で作るトリートメント。緑が豊富なケララならでは。
キリは、患者さんの症状に合わせて医師/治療家が処方します。
セラピスト目線としては、布一枚から縫わずに作れ、持ち手があるのでマッサージがしやすく、何度も開け閉めでき、昔の人は上手く考えたものだと感心してしまいます。
AROUND INDIAは、冬至には柚子、お肌には米ぬかなど、好きなものでキリを作り、湯船でマッサージするように使うこともあります。
ほどけるとお掃除が大変!試す時はしっかりと結んでくださいね。
デリーのKairaliでは、キリとオイルがセットになった便利な製品も売っています。
AROUND INDIA|インド旅とアーユルヴェーダさん(@around_india)が投稿した写真 –
こちらは日本で買えるアーユルヴェーダ仕様のキリ。アロマで有名な生活の木の商品で、中身は、ニカ、アダトダ、エランドゥー、ニーム。蒸して使うタイプです。