『ケララ秘伝
暮らしのアーユルヴェーダ』
伊藤武・田村ゆみ共著
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『アーユルヴェーダと〇〇 vol.1 パンチャカルマ基本編』田村ゆみ著
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昔々から伝わるアーユルヴェーダマッサージの数々。
そのバリエーションの一つに、お団子状の用具を使うものがあります。
このお団子状(ボール、巾着)のものを、アーユルヴェーダの本場ケララの言葉でキリ(Kizhi)と呼びます。
英語ではBolus bag(ボーラスバッグ)、タイではハーバルボールマッサージ、他にもPinda swedaやPotliと呼ばれています。
数あるアーユルヴェーダの発汗法のうちの一つで、ケララマッサージとも呼ばれています。
キリの中身は、薬効の高い特別なお米、スパイスなどのパウダー、薬草、卵などさまざま。
温めた煎じ薬、薬用牛乳、オイルなどに浸けたり、温めたりしてマッサージしていきます。
中身や方法によって、〇〇キリと呼び名が変わります。
別名はピンダスウェダで、この場合も〇〇ピンダスウェダと中身や方法によって名前が変わります。
ケララの伝統的なマッサージで、アーユルヴェーダ病院でも 伝統武術 カラリパヤットゥ の診療所でも、頻繁に用いられています。
AROUND INDIAが初めてキリを使ったマッサージを体験したのは、アーユルヴェーダを学びにインドへ行くずっと前のこと。場所は、タイの涅槃寺 ワット・ポーでした。
このお寺はタイ古式マッサージ発祥の地として有名で、敷地内のセンターでマッサージを受けることができます。
マッサージ着に着替えて、古式マッサージと蒸したハーブボール(キリ)を使ったトリートメントの2種類を受けました。
タイのキリは、レモングラスなど、タイハーブならではの爽やかな良い香りがしていました。
終わった後、そのまま服を着替えて帰るのですが、乾いた成分が毛に絡まりちょっと痛かったです。
タイのハーブボールは、Amazonでも買えます。
まずは電子レンジで温めて使うフェイシャル専用のもの。
中身はお米、ショウガ、レモングラス、コブミカン、ターメリック、マンゴスチン、アロエベラ、タマリンド。
続いても電子レンジで温めて使うものですね。こちらは体用で冷え肩こりなどにおすすめだそう。
中身は、ショウガ、ターメリック、レモングラス、ベルガモット、ウコン、タマリンド、パンダン、コブミカン、ユーカリ、パチョリ、カンフル、黒檀。
そのボールを使ったマッサージに再び出会ったのが、アーユルヴェーダを習いに行ったインド・ケララ州の病院でのことでした。
授業でトリートメント方法を習い、患者としてパンチャカルマ浄化療法の一環として処方されました。
このとき教わったキリは、米・パウダー・薬草の3種類でしたが、タイのような蒸すという方法は行われていませんでした。
ケララには、タイマッサージのセラピストさんも多く学びにきていて、タイ古式マッサージの始祖は、ブッダの侍医を務めていたインド人のアーユルヴェーダドクターJivaka(ジーワカ)と考えられているんですって。
インドから各地へ渡ったアーユルヴェーダは、タイの土地に合わせて変化した姿で根付いているようです。
キリを使ったマッサージは、インドでもケララマッサージと呼ばれています。
それほどケララ州では頻用されています。もっともっとたくさんの種類があるのですが、よく使うのは、
キリを作る時は、最初に具を準備します。
布を広げ、中央に具を置き、四隅をまとめて包み、紐で結び、取っ手付きのボール形状にします。
結び方の手順は、わたしが学んだ2つの施設、アーユルヴェーダ病院と カラリパヤットゥ の診療所で異なります。
処方も作り方も、それぞれ引き継がれてきた方法で行われています。
タイで売られているハーバルボールを入手してもらい、3種類解体してみました。
これらもまたちがう方法でボール状になっていました。
激しいマッサージをする場合は、しっかりと崩れないように結ぶこと
軽く押し当てる程度の使い方をする場合は、ある程度適当でも大丈夫です
中身は、乾燥生姜やディルなど、スパイスや根っこなどをパウダー状にし加工したもの。ポディは「粉」という意味です。
カラリの診療所では、打ち身や捻りなど外傷性の痛みの患者さんが多いため、痛みに良いとされる ポディキリ は欠かさず用意しています。
ナヴァラキリ は、薬効のすぐれたケララ特産の赤米ナヴァラと、牛乳などを煮込んだしっかりしたお粥。いかにも栄養がありそうな見た目で、牛乳の甘い香りが漂います。
皮膚疾患や滋養などにオススメで、一回ではなく7日間など連続で受けるマッサージ。病院によってはマッサージ後に、キリを開いてお粥状になった中身を全身や顔に塗ってくれるので、どろんこ遊びのようで楽しい。施術中は、体が冷えやすいです。ペーストを拭った後は、温かいオイルを塗布します。
スリランカの国立アーユルヴェーダ病院でも、ケララのナヴァラライスを取り寄せて使っていると言っていました。
AROUND INDIAはアーユルヴェーダ病院でのパンチャカルマ、アーユルヴェーダリゾートでの14日間の滋養トリートメント、 カラリパヤットゥ 師匠の14日間トリートメントなどで、 ナヴァラキリ が処方されてきました。
元気を保つために、よく処方されます😊
エラキリ は、ドラムスティックの葉っぱ(モリンガ)などヴァータを減らす作用のあるものを刻んで、削ったココナッツなどを足してオイルで炒めて作ります。
その様は料理そのもの!香りもおいしいので、作っているときに近くにいるのが好きです。
元気な葉が大量に必要です。近所で摘んできて、新鮮なものを使っています。薬草が豊富なケララならではだなと思います。
キリは、患者さんの症状に合わせて医師/治療家が処方します。
布一枚から縫製不要で作ることができ、持ち手があるのでマッサージがしやすい、何度も開け閉めできる。
昔の人は、本当に上手く考えたものだと感心します。
AROUND INDIAは、冬至には柚子、お肌には米ぬかなど、好きなものでキリを作り、湯船でマッサージするように使うこともあります。
ほどけるとお掃除が大変!試す時はしっかりと結んでくださいね。
キリの作り方や、季節ごとのレシピは、共著「ケララ秘伝暮らしのアーユルヴェーダ」で伊藤武先生のイラスト付きでご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
デリーのKairaliでは、キリとオイルがセットになった便利な製品も売っていましたよ。
AROUND INDIA|インド旅とアーユルヴェーダさん(@around_india)が投稿した写真 –
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