『ケララ秘伝
暮らしのアーユルヴェーダ』
伊藤武・田村ゆみ共著
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『アーユルヴェーダと〇〇 vol.1 パンチャカルマ基本編』田村ゆみ著
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パンチャカルマ(pancha karma)は、アーユルヴェーダの中でとても大切な浄化療法、体の中に溜まった汚れを流し出してきれいにする方法です。
パンチャカルマ Panchakarma
Pancha(5) + Karma(方法)
サンスクリット語で「5つの方法」という意味です。
体の中に無数にある管(スロータス、シュロータス、Srotas)に、汚れが少しずつ溜まっていくとスムーズに流れなくなっていきます。
汚れは汚れを呼ぶので、どんどん流れづらくなっていってしまいます。
全体の流れが鈍くなったり、流れが阻害されて他の場所に流れてしまったり、一カ所に多く流れ込んでしまったりすると、不調が生まれ病気が起こりやすくなります。
気をつけて生活していても、汚れはどうしても溜まります。
家も年末に大掃除をするように、体も定期的に大掃除することで、汚れづらく・体調を崩しづらく・治りやすくするのがパンチャカルマです。
表面上治してぶり返してしまわないよう、きちんと根本の原因をつぶしこむ方法と言われています。
病気の人は治療目的で受けることができますし、健康な人も病気の予防や健康の維持増進のため、若返り・強壮のために受けることができます。
病気じゃなくても受けられるというのが、アーユルヴェーダの大きな特徴の一つです。
アーユルヴェーダのイメージとして、額にオイルを垂らしている姿を想像する方が多いと思いますが、この シロダーラ という方法もパンチャカルマで行う治療の一つです。
パンチャカルマは、汚れを落とすための一連の施術の組み合わせなのです。
体外へ排出する方法が5種類あるため、パンチャ=5つ、カルマ=方法と呼びます
アーユルヴェーダ病院でパンチャカルマを受ける場合、ドクターが患者さん一人一人に合わせて、お薬や生活法などと共に治療内容を処方します。
そのため「 シロダーラ を受けてみたい!」と患者さんが願っていても、不要だったりふさわしくない治療であれば受けることができません。
もし、患者さんの「受けたい!」という要望を、なんでも受け入れてくれるドクターだったら、患者さんの願いは叶っても、体を良くするという本来の目的のためにはならないのでおすすめできません。
恩師は「友人としてはYESと言いたいけど、医者としてはNO」とよく仰っていました。
病気でなく薬の処方も不要だった、わたしのパンチャカルマは約40日間でした。
2010年にケララ州の病院や施設に複数問い合わせたところ、パンチャカルマを受ける日数は最短で21日間が最も多く、1〜2週間という滞在は断られることが多かったです。(2020年現在、1日〜短期で滞在できる施設が増えました)
本格的なパンチャカルマを受けたい方には、短期間でできる施設はおすすめしません。
全身へのトリートメントは、1日1種類が基本。いくつものトリートメントを行うと、心や体への負担が大きくなり、その部分に集中できなくなるから日数が必要です。
また、パンチャカルマが中断になることもあります。
中断するのは、風邪などで体調を崩したとき、生理のときなどです。
スムーズに治療を続けるためには、患者自身も体調を管理する、すなわち治療に協力することが大切なのです。
指示された養生方法を守って、無理なく過ごすように気をつけましょうね。
パンチャカルマは時間がかかるものですが、それは、いかに!体や心に負担をかけずに、いかに!効率的に排出するかが大切にされているから。
長い間かけて溜まったものは、手放すのにも長い時間がかかるのですね。
時間をかけずに一気に出すためには、強いお薬や激しい方法が必要になってしまいます。
特に最後の「養生」工程は、治療を受けた後にしっかり休む時間です。養生する日数は治療期間の倍です。
④ 養生日数=① + ② + ③ ×2倍
【例】21日間のパンチャカルマの場合、21日間の養生がプラスされ、全部で42日間生活に気をつけます。
それでは、パンチャカルマの中身をご紹介しましょう。
オイルでゆるめる 前処置(Poorvakarma、プールヴァカルマ)では、数日かけて油分を口から摂取し、体の中に満たしていきます。
スネハパナ (snehapana)と言います。
ギー(ghee、gritam)という溶かした澄ましバターをベースに薬草などの成分をたっぷり含んだお薬を飲むことが多いです。ギーをたくさん飲むのはなかなかに大変なのですが、この工程で、体には良いことを実感します。
消化し終えるまでは、ごはんを食べません。
オイルを使った全身のマッサージ アヴィヤンガ (abhyanga)という方法もあります。
このトリートメントは、日本のアーユルヴェーダサロンでも広く行われています。
これらをスネハカルマ(sneha karma)といいます。
発汗で液状にして、体のすみずみから一カ所に集める前処置では、スウェダナ(swedana、スウェダカルマ、sweda karma)という方法で汗をかきます。
油で柔らかくなったドーシャを、液状にして消化管へ運ぶのです。
日本でもおなじみの シロダーラ は、この発汗法に含まれます。
一気に流し出す本処置(Pradhanakarma、プラダーナカルマ)では、いよいよパンチャカルマ(5つの方法)の出番です。
1 | 薬を飲んで吐く・嘔吐法 | ヴァマナ | Vamana |
2 | 薬を飲んで下痢をする・下剤法 | ヴィレーチャナ | Virechana |
3 | 薬を浣腸して排泄する・浣腸法 | バスティ | Vasti, Basti |
4 | 鼻に薬を入れて口から排出する・点鼻法 | ナスヤ | Nasya |
5 | 皮膚から血液を排出する | ラクタモクシャ | Raktha moksha |
5種類の方法から、適したものが処方されます。
ヴァータを排出するのに有効な、浣腸 バスティ(vasti)を処方される方の割合が多いです。
後処置(Paschatkarma、パスチャットカルマ)は、たくさん出して疲れた体を復活させる時間です。
これまでかかった治療の日数と同じ日数、養生して過ごします。
具体的にどのように過ごすのか見てみましょう。
これらの養生法は、パンチャカルマの後に限らず、病後や体調が悪いときに体を復活させるために、とてもおすすめ。
このように、パンチャカルマには段階があって、期間も長く必要です。
ドクターを信頼すること、きちんと指示を守ることが大切です。
パンチャカルマは、安さや施設の豪華さなどで選ばず、きちんとしたドクターのいるところで受けましょう。
AROUND INDIAは、本場ケーララ州にあるGreensという施設とお繋ぎしていますので、よかったらご利用ください。
インド現地でパンチャカルマを希望される方、パンチャカルマについてもっと知りたいという方は、パンチャカルマ準備講座もどうぞご利用ください。一対一もしくは少人数で行っているので、公に聞きづらいプライベートな不調についても安心してご相談いただけます。
リトリートと合わせて、パンチャカルマを受けることもできます。本場のアーユルヴェーダを学ぶ方面からも体験したい方におすすめです。