負担の少ないインドの代替医療「ナチュロパシー Naturopathy」とは?

ナチュロパシーとは?

ナチュロパシー Naturopthyは、自然療法です。

ナチュロパシーには、いわゆるお薬というものはなく、断食や食事療法を重視しています。
病気の原因は、わるいものがカラダに溜まることによるものと考えます。そのわるいものをがんばって出そうとするときに、熱・腫れ・痛みなどの症状が出るので、病気というよりはむしろ治るためのプロセスだと考えられています。

ナチュロパシーは、カラダに溜まった余分なものを抜き、自然のチカラを借りて、自分の治癒力で治っていく方法

アーユルヴェーダと同じ五大元素(空風火水地)という理論に基づいているので、インドではアーユルヴェーダとの組み合わせも多く見られます。
トリートメントに使うのは、水・摩擦・泥・日光・風・野菜など、五大元素を用います。
5大元素についてもっと知りたい方は、アーユルヴェーダの基本②:アーユルヴェーダの分類 5大元素・ドーシャとは?をどうぞ。

インドにはナチュロパシードクターという正規の医師もいる認められた医学です。
現代のナチュロパシードクターの学位はBNYS(Bachelor of Naturopathy & Yogic Sciences)で、5 年半かけて取得します。
ナチュロパシーはヨガと組み合わされるので、学位もヨガが一緒になっています。

ナチュロパシーを学ぶ

AROUND INDIAがナチュロパシーという言葉を知ったのは、2008年、インドでアーユルヴェーダを学んでいたときのことでした。
上級クラスに、ナチュロパシーの授業も含まれていたのです。
じゃがいもで目のパックをしたり、水を使ってマッサージをしたり。
それまでに習ってきたアーユルヴェーダのトリートメントとの違いも、とてもおもしろかったです。
日本や外国といった、アーユルヴェーダの本物の薬やオイルが手に入りづらい環境でも手に入る五大元素を使ったトリートメントは、AROUND INDIAの暮らしのアーユルヴェーダにとって、大きなヒントになりました。

一方、授業で習ったナチュロパシーの食事療法には、まるで魅力を感じませんでした。
お昼ごはんに「蒸した野菜をひとつかみと…」、夜ごはんも「蒸した野菜をひとつかみと…」と、まるで味がない病院食のような響きだったからです。
その上、重要視されるのが断食!
「ナチュロパシーをするなら、一生おいしさとは、さよならしなくてはならない」そんなストイックさを感じてしまいました。

そんなある日、先生から「近くにナチュロパシーの食堂がある」と聞いて、行ってみたら間違いに気づきました!!
一見、普通の食堂だったのですが、お客さまは普通のおじさん達。
ナチュロパシー食堂の料理は、白米ではなく赤米、ベジのみといった特徴はありつつ、大満足のケララ料理の定食だったのです。

授業だけでなく、実際に食べたことで学ぶことができました

こちらのナチュロパシー食堂のメニューは、パッチャリ、クッタリ、チュックカーッピ、アダ、ウンダ、ウップマーブ、ドーシャ、カダラ、カッパ、タッカーリカリー、アヴィル、チーラプットゥなどなど。
メニュー内容は、南インド・ケララ料理 用語集もご参照ください。

トリヴァンドラムで、思わず通ってしまうほどのおいしさだったナチュロパシードクター運営のレストランは、通いたくなる!おいしいナチュロパシーレストラン「Pathayam」|ケララ州トリヴァンドラムをどうぞ。

ナチュロパシーを暮らしに取り入れる

インドには、そのナチュロパシーを暮らしに取り入れている人々がいます。
中でも有名なのが、かのガンジーさんです。

collage of naturopathy and yoga
ガンジーさんは、インドの田舎に住む人々にとって、お金をかけず誰でも取り入れられるナチュロパシーが、とても役立つと思ったのです。
※逆に都会では、野菜や果物などの五大元素が遠くなるので、お金がかかりますね。

ナチュロパシーを取り入れるシヴァナンダさん

ケララにお住まいのシヴァナンダさんも、ナチュロパシーを使って暮らす一人。
お宅に滞在しながら、ナチュロパシーについていろいろ教えていただきました。

シヴァナンダさんは、定期的にナチュロパシーとアーユルヴェーダを用いた病院に入院します。
アーユルヴェーダのパンチャカルマのように、浄化療法を受けて健康増進に役立てているのです。

シヴァナンダさん愛用の素焼きの水ポット

普段の生活では、早起きをして、素焼きの瓶に一晩汲み置いた水で、目や鼻を洗います。
軽くヨガをします(お父様は、プラーナーヤーマ pranayama 調気法を達成したかなりのヨガの達人)。
新鮮なココナッツオイルでマッサージをし、日光浴します。
カラダを洗うときに使うのは、病院特製のハーブパウダー。
朝ごはんは、自宅でとれた旬のフルーツから作った新鮮ジュース。通常はベジ食。
ハニーウォーターやノンカフェインのスパイスコーヒーを飲みます。
時おり、自宅での浣腸と入院で集中ケア。

ナチュロパシーなシヴァナンダさんのサポートをする奥様

シヴァナンダさんのナチュロパシー生活をサポートをする奥様はノンベジ。家庭内でそれぞれの健康法。

 

シヴァナンダさんのナチュロパシーグッズ

シヴァナンダさんのナチュロパシーグッズ

旅行に行ったときは、みんなと一緒にあるものを楽しんでいました。
わたしは、ご自宅で生活を共にするまで、ナチュロパシーに従って生活していることには気づきませんでした。

モンスーンのある日、大雨が来ました。雨に濡れることも、とても楽しんでいたのが印象的でした。
雨も五大元素の一つ。水を使ったセラピーですね 😀

雨に濡れて水セラピーするシヴァナンダさん

トリヴァンドラム在住の恵さんとアヌーさんのご両親も、ナチュロパシーな人々でした。

ナチュロパシーをはじめたきっかけが、ご自身の病からだったそうで、著名な先生について学ばれていました。
ご自宅では薬草を育て、普段のケアに使っています。

薬草いっぱいのお庭

「こどもたちに、よく食べさせたのよ」と、ココナッツやジャガリーなどを混ぜた手作りのパワーフードやザクロジュースなどを教えていただきました。

外食はナチュラルフード・レストランで!無農薬のお野菜なども購入できます。
お買い物に立ち寄ったのも、オーガニックフードショップでした。

インドでは、しばしば食品の安全性についての話になるのですが、オーガニック野菜も同じような価格で簡単に手に入るとのこと。デリー在住の方も、同じようにおっしゃってました。気軽に選択できるのっていいですね!

Dr Ilakiyaは、ナチュロパシードクターを目指してから生活を変えたとのこと。始める前と後では、かなり調子が良く、心や体と仲良しになったそうで、無理なく暮らしに取り入れていくことをオススメされていました。

みんなのアーユルヴェーダprananamナチュロパシークリニック

ナチュロパシーのトリートメントを病院で受ける

インドに通ううちに、ナチュロパシーで治療を受けている方にお会いする機会もちらほら。

南インドのナチュロパシークリニックRoots Nature Cure

あるインド人の若い女性のケース。
肥満治療に、年一回、一ヶ月ほどRoots Nature Cureに入院。
ジュースダイエットも充分な量がもらえ、ヨガなどのプログラムも充実しているので辛さはないとのこと。
すごく効くと言っていましたが、体重はストレスのため年々増加傾向にあるとのこと。

その病院では、外国人患者さんも多いそうで、あるアトピー患者さんは入院中かなり改善したそう。
しかしヨーロッパに帰国後、もとの肉食メインでフルーツが少ない食生活に戻らざるをえず、症状がぶり返してしまったとのこと。
担当医は、ナチュロパシーの食事を継続を指南しましたが、フルーツは高級など環境の違いにより、同じように続けることは難しいとのこと。

Roots Nature Cureは、人気が高く、かなり前から予約をするのがオススメとのこと。
5人部屋からデラックスルームまであるけれど、デラックスルームは少し離れているようで、他人との交流が少なくなり移りたくなる人が多いとのこと。

Samyama ナチュロパシー・アーユルヴェーダ病院

アーユルヴェーダ病院で働いていた友人セラピストは、次の勤務先にナチュロパシーとアーユルヴェーダを組み合わせた病院Samyama Naturopathy and Ayurveda Hospitalを選択。
トリートメント内容は違うものの、アーユルヴェーダの伝統的なオイルも治療に使われているなど、アーユルヴェーダセラピストがナチュロパシー病院で働くという選択肢も一般的とのこと。

AROUND INDIAが体験したのは、オイルマッサージとスチームバス(サウナ)。時間がなかったので、一回だけのトリートメントを受けました。使用したのはごま油。摩擦や絞りなど、独特のテクニックでした。みんなのアーユルヴェーダトリートメント【番外編】ナチュロパシークリニック「Prananam」|ケララ州をどうぞ。

みんなのアーユルヴェーダprananamナチュロパシークリニック

少数民族のトリートメントも、ナチュロパシーの部類に入るようです。ナチュロパシーの賞を受けているケララのジャングルに暮らすおばあちゃん先生、頭の中には500種類もの薬のレシピのLaxmikutti先生。森の中のクリニックで、毒の治療を得意とされています。

そしてこちらは、他の部族のChilling moo paths先生。先祖の職業や人柄もわかってしまう不思議な先生。自分ひとりでは生きていない。ルーツがあるからこそ自分が存在している。切っても切れない先祖との繋がりが体質や性質にも現れている。そんなことを感じずにはいられませんでした。(患者さんによってお話される内容は違います)
深森の少数部族に伝わる伝統療法を受けました!(診察・手相・オイルマッサージ)|ケララ・パッラッカード

ケララ、Attappati部族伝統の診断、頭

ナチュロパシーをどう使う?

ナチュロパシーは、数々の病気の治療や、糖尿病のコントロール、ガンの予防など、さまざまな恩恵があると言われています。
ただそのためには、生活習慣を改善することも必要です。

体質改善や病気の治療など、本格的にトリートメントを受けるには、2週間、3週間、1ヶ月など、まとまった期間滞在しましょう。

AROUND INDIA一押し!かんたんナチュロパシー

調子が悪いときは1食抜く
風邪っぽいとき、熱が出たときなど、調子が万全でなかったら無理に食べない
食事を抜いてしっかり眠ると重症化しづらいです。

赤ちゃんや犬も、調子が悪いと食べずに休みます。

かなり調子が悪いときは、病院へ行ってくださいね。

ナチュロパシーを読む

2008年にインドで買った本Nature Cure for Common Diseases。Vedic Booksというオンライン本屋さんからも購入できます。

Vedic Books

 Nature Cure for Common Diseases by Drs D R Gala and Sanjay Gala and Gala

YUMI TAMURA

アラウンドインディア主宰 田村ゆみ。日本とインドを行き来しながら、暮らしに取り入れるアーユルヴェーダや元気の知恵を探っています。 インド政府認定BSSアーユルヴェーダ・パンチャカルマセラピスト。ケララ伝統武術カラリパヤットゥ・セラピスト。元インド号編集長。ケララ州のアーユルヴェーダ病院・カラリパヤットゥ道場・テイヤム旅行会社提携。著書『暮らしのアーユルヴェーダ』