『ケララ秘伝
暮らしのアーユルヴェーダ』
伊藤武・田村ゆみ共著
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『アーユルヴェーダと〇〇 vol.1 パンチャカルマ基本編』田村ゆみ著
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まずは、日常にアーユルヴェーダがある現地ではどのように保管しているか?
わたしのカラリの師匠の診療所では、空の酒瓶に入れてあります。酒瓶は、遮光性があるものが多そうです。
製造も行う、町の小さなアーユルヴェーダ薬局では、ビン入りもよくみかけます。
でも、アーユルヴェーダ病院や大きな製薬会社では、遮光瓶ではなく、プラスチックボトルに入っているのが一般的です。
Chiktsa Sangrahamという本を覗いてみると「製造よりもさらに保管がむずかしい」と書かれていて、保管に関するさまざまな指示が挙げられています。
そこでは、保管容器の素材として、ガラスもしくは陶器がおすすめされています。
保管時の環境は、湿度、寒さ、直射日光などを避けるようにと。
ただ、もう少し考察してみましょう。
Chiktsa Sangrahamが書かれたのはいつ?
この指示は、Chiktsa Sangrahamのどこに書いてある?
どのような意図を持って書かれた?
著者は、病院であり教育機関でもあり製薬会社でも会社をつくったVaidyaratnam P.S.Varier氏。
自分たちがきちんと薬を製造しても、支店や購入者が適切に保管しないと、想定した効果が得られないと考えたからではないかと思います。
きっと保管方法を知らない人が多かった。だから、本の冒頭に書くことで、その教育をしようと思ったのだろうと。
そして、重要なのがこの本が最初に出版されたのが1907年であるということ。
日本でプラスチックが身近になってきたのが1950年代なので、それよりずっと前のことなのです。
現代では、このP.S.Varier氏の薬局でも(下の写真)プラボトルに入れて販売されています。
当時のChikitsa Sangrahamから導き出されるベストな保管方法は、きっちりを蓋がしまるガラス瓶に入れ、温度変化の少ない冷暗所。
遮光瓶であれば、さらにいいと言えるでしょうね。
でも、AROUND INDIAは基本プラボトルです。
師匠のところでオイルを分けていただくときも、ガラスからプラボトルに入れ替えていただいています。
なぜかというと、以前ケララの薬局でビン入りのオイルを買ったとき、重いからデリーに郵送したのです。
届いた荷物を開けてみたら、めちゃくちゃに割れてました。
ケララで買ってきた大事な大事なオイル。ダメにしてしまって申し訳ない気持ちになりました。
そのとき、これからはビンはやめようと誓ったのでした。
ガラスは、割れる。重い。コストも高い。
きっとその辺りが、プラボトル入りのアーユルヴェーダオイルが多い理由なのではないかなと思います。
AROUND INDIAでお取り扱いしているオイルも、プラボトル入りです。
ただ、遮光瓶に入れるなら、どんなものがよいか、ちょっと調べてみました。
容器製造販売の匠東静による説明をみてみましょう。
ガラスの遮光性は一般的に、
黒色茶色の遮光瓶が遮光率と保存性が高い|匠東静
黒色>白色>=茶色>緑色>青色>透明
の順に高くなります。
フロスト加工による光の乱反射により遮光性は上がります。
黒色の瓶が最も遮光率が高い。でも、製造が難しいらしいです。
また容器に求められる遮光とは | 東静容器株式会社によると、青色に関してはほとんど紫外線をカットされていないということがわかりました。
青も人気のイメージだったので意外でした。
遮光瓶を買うなら、茶色を選ぶと、遮光性が高く、入手もしやすいですね。
色が濃いほど遮光率が上がるので、薄い茶色よりも濃い茶色を選ぶと良いでしょう。
アーユルヴェーダオイルは、ココナッツオイルベースのものは20℃くらいでカチコチに固まってしまうので、湯煎をして溶かすことがあります。
ガラス容器は、急激な温度変化が苦手なので、割れないように、水/ぬるま湯から徐々に温度をあげながら湯煎する、もしくはぬるい湯で長く湯煎すると安心。
プラ容器なら、ボトルの耐熱温度が100℃を超えるものなら、ボトルに熱湯をかけられるので、急いでいるときにも溶かしやすくて便利です。
耐熱温度が低いものは、低い温度でじっくり時間をかけて溶かしてくださいね。
サロン用のボトルウォーマー「ウォマトロン(井藤製作所)」
現在は、2本用〜6本用が販売されています。旧タイプは、8本用もあり。
仕切板を外して大きな容器を入れたり、温度調節(約35〜50℃)ができます。
続いては、小泉成器の「かんまかせ」です。黒ですっきりしたデザイン。
300mlの瓶は入りますが、ボトルの大きさは制限されます。付属のチロリや、徳利に入れ替えて温めるのにいいですね。
ちなみに、ダラムサラのメンツイカンのトリートメントセンターでは、徳利のような容器でオイルを湯煎して温めていましたよ。
注意したいポイントは、飲み物用に作られているため、温度設定が40〜80℃ということ。80℃で温まってしまうと火傷しかねないので気をつけて。