『ケララ秘伝
暮らしのアーユルヴェーダ』
伊藤武・田村ゆみ共著
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『アーユルヴェーダと〇〇 vol.1 パンチャカルマ基本編』田村ゆみ著
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インド旅2023は、全部で1ヶ月確保していました。
序盤は、ケララ南部で過ごし、中盤、ケララ北部のアーユルヴェーダ病院に移動してリトリートの開催。
カラリ師匠のいらっしゃるカヌールという町へ移動し数日過ごし、最後の1週間は学びに使いたいと思っていました。
AROUND INDIAは、湧いてきた疑問を、次のインド旅で学ぶということを繰り返しています。
今回も学びたいテーマはある。
でも、その知恵を持っていそうな方と連絡をとっても、なかなかしっくりきませんでした。
最後の1週間の予定が決まらぬまま、インドに行きました。
現地のホテルスタッフにお願いして連絡してみても、先生と全然連絡が取れず。
数時間かかる場所でしたが、結局アポなしで訪問することに決めました。
町について確認すると、診療時間はいつも朝〜夕なのに、その日に限って午後7時からとのこと。
思わず驚いて聞き返してしまいましたが、この先生は違うということだろうと思い、訪ねるのをやめました。
「どうしたら学べるかなぁ」と頭の片隅で思いながら、アーユルヴェーダ病院リトリートで忙しく過ごしていたら、ある日突然向こうからやってきました!!
ポーランドのアーユルヴェーダ専門旅行会社の社長さんに話しかけられました。
インドに12年間住み、各地のアーユルヴェーダ施設を巡ってきた方でした。
アーユルヴェーダ情報を交換しつつ、ふと「今まで出会った最高のアーユルヴェーダドクターは?」と尋ねると、一人のドクターの名が挙がりました。
すぐ、そのドクターに連絡すると受け入れを快くOK!最後の予定がバチッと埋まりました
リトリートを終えてから、カラリの師匠のいるカヌールへ移動。
師匠のクリニックが掲載されている地球の歩き方をプレゼントして、ご一緒に朝のお祈りに。
クリニックで診察を拝見し、貴重なオイルを分けていただいて、夜行バスでご紹介されたドクターの住む次の街へ向かいました。
長年お付き合いのある社長さんの紹介だったおかげもあり、歓迎してくださいました。
わたしが学びたいことをお伝えすると、毎日個人レクチャーをしてくださることに。
インドの伝統的なGurukulaグルクラという学びかたです。
先生は生徒に合わせて、教えることを選び、内容は生徒の質問によっても変化します。
グルクラを経験したばかりの頃は
「どうしてテキストがないんだろう?」とか、
資料があっても、その通りに進まないことに、
「ちゃんとテキストを作って、その通りに進めてほしい」
とモヤモヤしたこともありました。
学校教育が受けられる恵まれた環境で育ったので、
「先生は教えるもの、生徒は教えてもらえるもの」
と勝手に思い込んでいたのです。
でもグルクラのありがたさは、カラリの師匠の元で学んだ翌年に痛感しました。
師匠から、ある外国人生徒さんの授業のサポートに入るように言われました。
そこで彼女に教える知恵と、私に教えてくださった知恵の違いを知ったのです。
大きな理由は、アーユルヴェーダの基礎があるかないかだったと思います。
でも、少なく教えるのは決してイジワルなことではなく、師匠の優しさなのです。
理解できないことを詰め込むのではなく、理解できることを見極めながら進めてくださっているのです。
大勢で受ける授業だと、理解したフリや、理解できてないけどまぁいいかと過ごせますが、グルクラ方式、しかも一対一の場合は、教わる前に「あなたはどう理解しているか話してみて」とこちらの理解をお伝えしてからはじまったり、理解を確認するような突っ込んだ質問がばしばし飛んできたりするので、教わる方も必死です。
グルクラは、先生によるところが大きいです。
合う先生に出会えれば、すばらしい学びが得られるでしょうし、合わない先生のときは、まるで貝が閉じたかのように、まったく教えていただけないこともあります。
学校教育だと、決まった時間、みんなが同じものを受けられる、カリキュラムがあるので、どちらにもメリットもあれば、デメリットもあります。
ナーヤルカーストで母系の、ドクターの家系が守ってきたお寺に行きました。
わたしがすごく好きなタイプの、森に囲まれたお寺でした。
灯りを絶やさぬようにランプにオイルを補充すると、ドクターは本堂ではなく森に向かってお祈りしはじめました。
森の方面に、3神が祀られていたのです。
続いて、ドクターに本堂を覗くように促されました。
そこには、とても古い剣や足輪が置かれていました。
ケララの伝統武術カラリパヤットゥです!!
ドクターによると、昔、ケララにいくつもの王国があったころ、ここにも王国の宮殿があり、カヌールの方から師がきてカラリの武術・医術が伝えられたそうです。
後に王国は敗れ、武術を続けることはできなくなったため、治療面のみに転換し継承されてきたのだそうです。
ビックリ!!
車で7時間ほど離れたこの土地でも、またカヌール。そしてまたカラリです。
AROUND INDIAは、あたらしく掘り起こしたマルマではなく、継承されてきたアーユルヴェーダのなかのマルマの存在を探していました。
ルーツはカラリでしたが、アーユルヴェーダに組み込まれ、変化した形で生き残る知恵に出会うことができました。
いまこの本堂にある剣に触れることができるのは、ドクターのお父上だけ。
代々お一人に権利が受け継がれていくんですって。
お寺の帰り道、破壊された宮殿の一部が民家の奥に見えました。かつてあった王国の名残は、今も自然と同化していて残っていました。
カラリの医術をルーツにした治療を行っていた、マルンマヨギとして知られた大叔父さま。
ドーティー腰布を2枚しか持たず、一枚ずつご自分で洗濯して身につけていたんですって。
大雨がつづく雨季にはドーティーが乾かないこともありましたが、「もう一枚買ったら?」というドクターに、「乾いていなくても問題ないよ」と返されたそうです。
足りていると思うラインをどこに引くかは、我々次第なんですよね。。
その大叔父さまについて、小さい頃から教わってきたドクターが、マルマムクターサナというヨガや、マルンマヨギのマルママッサージを教えてくださいました。
時間が限られていたので、ドクターがモデルになって確認しながら教えてくださいました。
短期間でも、ありがたい学びでした。
ある日、ご近所のヒンドゥー寺院の司祭さんのお宅へ連れて行ってくださいました。
1400年以上の歴史があるアルダーナリシュヴァラ(シバとパールバティの融合体)の寺院で、ケララの重要なシバ寺院のひとつに数えられています。
AROUND INDIAは、昔からアルダーナリシュヴァラと出会う機会が多かったのでうれしかったです。
代々医療占星術を行ってきたナンブードゥリ家系 Nambudiriで、こちらの病院ではこの寺院と連携して治療に活かしているとのことでした。
占星術ではパソコンも用いていらっしゃいましたが、時折、ふーっと瞑想状態に入るのです。
何かを感じているような、わたしの何かを読み取っているような感じがするのですが、非常にいいお顔で心配無用なあたたかさを感じでした。
瞑想状態から戻ると、わたしの幼いころのことや、最近見た夢のこと、今起きていることなどついてお話されました。
「頭で考えず、ただ進めていくように」と後押しをいただき、かかりやすい不調も教えてくださったので、予防に役立てようと思います。
わたしの今後の学びについてのお話があったので、どう学んだらいいものか質問しました。
〇〇を学ぶためには、
どうしたら良いでしょうか?
先生はやってきます。これまでと同じように。
探す必要はありません。
傍にいたドクターも「僕のようにね。来ますよ」と笑っていました。
確かに、ドクターも司祭さんも探さずに出会えました。
カラリの師匠の時も、youtubeのおすすめに現れるという形で出会えました。
無理に探そうとしても見つからないのは、今回よくわかりました。
きっとまたいつか、機が熟したら先生に出会えるのでしょう。
その日までのお楽しみにしておきます。
このお寺で体験した、ヴェーダ祭式の浄化療法については、また別の機会に。