「ケララ秘伝 暮らしのアーユルヴェーダ」
伊藤武・田村ゆみ共著
\ 10月10日 発売/
「インドって怖くない??」
「女性一人で行って平気なの?!」
インドに行く前は「怖そう」「気を許してはいけない」イメージがありました。
日本で取り上げられるインドは、女性の性被害、山道での事故、電車事故、ヨガや宗教の変わった部分、混雑する町、貧困など、明るくない話題が多くて、どうしてもマイナスの印象が先行しやすい。
インド一泊目の大都市ムンバイでは、あの人怪しい?盗まれないようにしなくちゃと警戒感バリバリでした。
でも翌日アーユルヴェーダを学ぶ南インド・ケララ州カンヌール(カヌール)に着くと、優しい人ばかりで、まるで長野にいるように感じたのです。果たして、
インドは怖い国?それとも怖くない国?
インド各地を旅するうちに、旅のスタイルによって安全度は大きく左右されることがわかってきました。
治安の良くない場所、ガラの良くない人、夜、お酒、麻薬、露出の多い服装、女性一人、都会、観光地、聖地など
日中、数人で行動、人通りがある場所、露出の少ない服装、お金持ちに見えない服装、現地人のような服装、裕福なエリア、外国人がほとんど来ない田舎など
殺人の犯罪率は、210ヶ国中118位(世界の殺人発生率 国別ランキング)。
日本人がよく行くアメリカの105位より低く、命に関わるような事件は少なめなことがわかります。
どんな場所でも100%安全はありません。きちんと対策しましょう。
滞在国・地域での大規模な事故・事件が発生した場合には、在外公館から緊急一斉メールが発信され、場合によっては安否確認等のための連絡があります。
3月にインド情報の登録してから1ヶ月経ちましたが、これまでに2回、危険が高まった地域の状況や対策などのメールがきました。危険の中には災害情報も含まれます。
アプリを入れておくと、携帯のGPS機能を使って、自分のいる地域周辺の海外安全情報が表示されます。
AROUND INDIAが、いつも利用しているのは損保ジャパンOFFです。
クレジットカードに付帯している保険の足りない部分を補うオーダーメイドプランで加入することができます。
カード付帯の保険は、ケガは充実していても病気はあまりカバーされていなかったり、旅行代金を支払った場合のみ適用されるなど条件が異なるので気をつけてくださいね。
日本から発信される情報は、遅かったり制御されていることもあるので、緊急時は海外メディアのニュースもチェックしてみましょう。
AROUND INDIAがこれまで耳にした事例と、その防御策についてまとめました。
インドにいると、テロ対策を目にしたり、テロの危険性について耳にしたりすることがあります。
ケララでは、遠くの都会の出来事という感じでしたが、都市部では日本よりずっと現実的。お金持ちの家の前に守衛さんがいたり、大きなお寺の前に監視棟があったり、空港のセキュリティが厳しかったり、地下鉄に乗る時は飛行機のように荷物のX線チェックを受けたりします。
テロの起こりやすい場所は、人が集まる場所。
ホテル、巡礼地、お祭、イベント、選挙、空港、駅などが挙がります。
日本の外務省の情報を受け取れるようにしておき、危険度が高まっている地域には近寄らないようにしましょう。
現地のニュースもチェック!
現地で行きたい場所を相談すると、「その地域、最近危ないよ」と近くに住む知人に安全情報を確認してくれることも多いです。
移動まえに、ホテルで話してみたり、情報を探るのもおすすめです。
プライベートガイド(無免許、偽の免許)やその辺で知り合った人が、数日案内して仲良くなったところで飲み物に睡眠薬を入れ、気を失っている間に現金など貴重品を奪う手口。
実際のケース:現金数十万円を盗まれ、路上で眠っているところを保護されたなど。
ラッシーを使うケースも多いそうです。理由は、味が濃くて睡眠薬を入れてもわかりにくいから。
この睡眠薬強盗は、仲良くなって信頼を得た上での犯行。
相手を疑うのは良くないという、日本人の優しさにつけこむ方法で、それを相手もわかった上で行っています。
素性を知らない人の場合、自分で直接買う、買う時一緒にいるのも手です。
「作ってるところ見たい♩」と付いていき、お店やその人の写真や動画を撮っておく。
少しでも怪しいと思ったら、一刻も早く離れるのがおすすめです。
怪しみつつ、断れないことが原因で被害に遭ってしまったら悲しい。お金だけでなく、変な強い薬で体に副作用が残ってしまうかもしれないのです。
また万が一盗まれたときのために、隠し金と連絡先、パスポートのコピーを別に持っておきましょう。
そして、絶対に大金を入れている場所を見せない/教えないようにしましょう!
覗き込まれるケースだけでなく、被害者が教えてしまったというケースもあるのです。
ニセガイドを防ぐためには、料金は高くなっても会社に所属するガイドを手配する、身元が不確実な人を信用しすぎない。
一緒に写真を撮る、相手の身分証明書の写真を撮らせてもらう、常に家族などに報告しているように見せる、パスポートの原本はセーフティボックスなどに保管しコピーを携帯する(インド人から強くおすすめされた方法)
インド人でもエマージェンシーマネー(緊急用のお金)だと、財布のあらゆるポケット、洋服のポケットなど、あらゆる場所にお札を仕舞い込んでいるのを見せてくれたことがありました。
服の内側にポケットが付いていたり、ファスナー付きの隠しポケットがあったり、肌身離さず貴重品を持つ工夫がされていました。
狙われてしまったら、きっと避けるのは難しい‥。
だから元から狙われないように、なんとかしましょう!
南インド・ケララ州出身の会社経営者を京都で案内していたとき、ミニスカートの女子高生が階段を跨ぐように立っているところに遭遇しました。
女子高生を見て「彼女は何をしているんだ?!(犯罪率の少ないケララ州であっても)レイプされても、彼女から挑発したんだから仕方がないと思われる」と言っていました。
彼は、外国人の友達も多く、海外にも行っていて教育も高いです。
そんな風に思っていることがショックでしたが、ケララでもそういう認識であることが事実。日本とは感覚が違うから、誤解されないように気をつけなくてはいけないのです。
インドでよく聞くのは、日本人は男女ともに優しいということ。
笑顔、目を見て話す、話を聞いてくれるなど、すごく優しく感じるのだそう。
日本では「目を見て話す」のは良いこと。
でもインドでは、嫁ぎ先の家族に対しても顔を見せない地域もある。
ただ目を見て話しただけで、好意があると勘違いされることがあるのです。
どうか、日本の性事情を誇張してインド人男性に伝えないでください。
「日本人から聞いた」と変な話をしてくる人、セクハラしていいと思っている人、結構多いんです。
露出やスキンシップは控えた方が安心です。
距離を取る。目をあまり見ない。女性に話しかける。
特に調子に乗りがちなのは、酔っ払い、団体、お祭。
人混みや深夜など、女性はできるだけ一人にならないようにしましょう。
女性ひとり旅の場合、家族連れやおばさんの近くにいる(一緒に行動してもらう)のがおすすめ。
現地女性とタクシーに乗った時、彼女はすぐ旦那様に電話で報告。
車内に書かれたID番号を撮るよう言われました。抑止効果が高いそうです。
デリーに限りますが、インドの携帯番号をお持ちの場合、デリー警察の緊急通報アプリ「Himmat!」もあります。
緊急時に通報すると、あらかじめ登録した2人と警察に連絡が行くシステムです。
寝台列車で服を盗られた人、AC2等(上から2番目のクラス)で寝ている間に荷物をまるごと盗まれたインド人弁護士、家に泥棒に入られたなど。
カラリパヤットゥ の師匠宅には診療所や道場を併設しており、他人の出入りが多いのですが、「中には悪い人がいる可能性があるから、(カメラなど)しまっておいて」と言われました。
他のお宅でも、写真を撮る時に荷物を置いたら、小学生の女の子に「ちゃんと離さずに持ってた方がいいよ」と教えてもらいました。
家や車の中に手を突っ込んで、堂々と盗もうとする強引な輩も。
インド人の防御策
電車の中や駅の待合室で仮眠を取る時には、太いチェーンで鍵をする人も。
鍵をかける、貴重品を見せない、トイレに行くときは持って入るなど気をつけましょう。
お祭など人混みへ行くときは、必要最低限の荷物で出かけましょう。
これは観光地や都会のインドの日常です。
お釣りを少なく渡そうとしたり、高い金額で売りつけようとしたり、最初に言っていた金額から突然変わったりすることがケースです。
堂々としたボッタクリだけでなく、ホテルのマネージャーが精算時にお小遣いを足すというセコい手口もありました。
ボッタクリは観光地で頻発します。ケララ州カンヌール(カヌール)ではほとんどありません。
一番ラクなのは、少額の被害なら気にしない。忘れる。
相場がわからない状態で、現地の人と同じ価格で同じサービスを受けるのは不可能だと思っていた方がよいです。
あまりにも安い金額を提示してきたら、知り合いのお店に連れて行って手数料をもらうなど、裏に何か収入を得る方法が控えていることが多いです。
高額で悪質の場合は、ツーリストポリスや警察に相談しましょう。
不要なものは、勇気を出してきっぱり断りましょう。
インドは、事故が起きそうなシチュエーションがいっぱい。
「よく事故らないなぁ」と感心してしまう運転技術、クラクションの嵐、突然の動物の横断、穴の開いた道路、未舗装の道、険しい山道。
わたしがこれまで事故を見たのは、一度だけ。それも少し当たったのか、当事者と周りの人が集まってやいやい揉めている状況でした。
でも実際には、インドの事故はかなりの頻度で起きていて、1時間に17人も亡くなっているのだとか…!
2017年4月1日、飲酒運転での事故を減らすために、インドの最高裁判所で幹線道路付近での酒類販売禁止命令が施行されました。
旅行中、運転する機会は少ないかもしれませんが、大通りを徒歩で横断することはあると思います。そんな時は、他に渡る人を見つけて一緒に渡ってみましょう!ただし、時々渡り下手なインド人もいるので、信頼しすぎないように。笑
乗り込んだオートリキシャやタクシーが、あまりに怖い運転だったら、思い切って他の車両に乗り換えるのも手!
万一のために、海外旅行保険には加入しておきましょう。
インドには、道路に牛がいるのが有名ですが、実は犬もそこら中にいます。寝ていたり、近くを人が通り過ぎても知らんぷりの犬がほとんどなのですが、時々凶暴な犬も。
友人が、早朝のビーチで犬に襲われてしまいました。
噛まれたらすぐ、病院に行き狂犬病のワクチン接種を受けてください。
現地の人は、怪しい犬がいると、石を投げつけたり、殴る真似をして追い払ったり、蹴り上げたりと、襲われる前に容赦ない態度で自分を守っていました。
ペットではありません。全ての犬が温厚だと思わないようにしましょう。
家で飼われているのも番犬であるケースが多く、撫でないように言われることが多いです。
海外旅行保険に入りましょう。
乗り込んだリキシャのドライバーから、「そのお店はもう無いよ」「閉店したよ」「そこは高いだけで全然良くないお店だよ」と言われることがあります。
基本ウソです。
この後続くのが「親戚がやっているお店がすごくいいんだけど」「友達のお店で…」「地元で人気」「もっと安くて良いお店を知っている」という他店の紹介。
これは紹介料がもらえるお店に連れていくための手段です。
悪いお店ばかりではないと思いますが、本当に質が良くておすすめしているわけではなく、買ってもらわないことにはコミッションが入らないので、ドライバーも混ざって一生懸命売ろうと画策してくることも。
ひどい時は、偽のお店に連れて行かれることも!
友人にデリーのDilli Haatというクラフトマーケットをおすすめしたら、同名のお土産屋さんに連れて行かれてしまったそう。
数年後、そのお店を発見しました。看板にはDilli Haatと書かれている、大きなお土産屋さんです。きっと今もあると思うので注意してください。AROUND INDIAが行くのは、INAという駅のすぐ目の前にあり、入場料を払って入るマーケットです。
デリーでインド人から聞いた話です。
デリー駅の前には、政府系の看板を掲げた旅行会社が無数に立ち並んでいました。
「実はあれ、基本的に全部ニセモノなんだよ」
あのマークがあると信用してもらえるとのことでしたが、どうして政府はそれを許しているのか不思議でなりませんでした。
デリー駅や駅付近で旅行者に声をかけ、助けるふりをしてチケットを拝見。
「そのチケットは乗れない」と嘘をついてチケットを取り直しさせる手口。
本当は、元のチケットは有効なのです。
取り直したチケットは、直前なので高い、特別なルートで取ったなどの理由で高額請求する仕組み。
「チケット取れていなかったの!?困った!どうやったら行けるの?!なんとかしなくちゃ」と焦る旅行者の心情をうまく利用しています。
チケットには金額が記載されていないことが多いので、1000ルピーのチケットに5000ルピー請求されてもわかりません。
チケットはオンラインで自分で取ることもできます。インドのオンライン電車予約が便利に!外国人ツーリスト枠が取れます。
カジュアルホテルのフロント、ホテルに付属している旅行会社も嘘をつくことがあります。
ツアーなど滞在中の予定を聞き、申し込み書などを「見せて」とか「確認してあげる」といいます。
見せると「だまされている」「ぼったくられている」「その会社は評判がよくない」などと言って不安を煽ります。
ここでチャイを持ってこさせたり、自分こそが信用できる人だと思わせ、新しいツアーに申し込ませます。
「(元々のツアーは)こっちでキャンセルしておいてあげる」と安心させ、実際は連絡しないケースもあります。話されると困ってしまうから、連絡させないという意味もあります。
ツアー当日、元の会社が心配して連絡が来て判明することも。ドタキャンになってしまっているので、キャンセル料も戻ってきません。
元々支払っていたツアー代金(もしくはキャンセル料金)+インチキ会社のツアー代金と、無駄なお金がかかってしまいます。
インチキ旅行会社は、あなたにインドを好きになって欲しいとか、良い体験をして欲しいという考えはなく、今いくら稼ぐかが大切。
日本語が通じる安心旅行会社シゲタトラベルより、具体例を教えていただきました。デリー駅から徒歩で行けます。
行きたいお店と違う気配を感じたら、ガイドブックやインターネットで外観を確認したり、自分でお店に電話をしてみましょう。
電話で確認しようとすると「電話番号が変わった」「お店が移転した」など、いろいろ言ってくるかもしれません。
そもそも電話をさせないなんておかしいと思いませんか?
お願いもしていないのに道端で声をかけてくる人、無理に仲良くなろうとする人、優しくしたがる人。
何かを求めている可能性が高いです。
怪しい気配を察すると「電話で確認してあげる」と申し出ることもあります。
現地の言葉がわからないと、本当に確認しているのかわかりません。仲間に電話して、ごまかしている場合もあります。
電話は自分でかけましょう。
騙そうとしてきた人に、騙しやすい人の特徴、なぜ日本人を狙うのかを聞いてみました。
インドで体験する嫌な経験は、ボッタクリ、嘘をつく、セクハラがほとんどだと思います。
有名観光地で、頻繁に声をかけられることで、インドが嫌になってしまう人もいます。
デリー駅付近では、地方から出てきたインド人もよく狙われるのだとか。
AROUND INDIAも、はじめてデリーやジャイプールへ行ったとき、(ケララ州北部カンヌール(カヌール)と違って)みんなが笑ってないことに驚きました。
金額交渉は面倒くさい!どうして騙そうとするの?と当惑しました。
声をかけてくるのが、そんな人たちなので、そんな人ばっかりに思えてしまうかもしれませんが、本当はそうじゃない人の方が多いのです。
命に関わるような危険は比較的少ない国です。
海外旅行保険に加入して、簡単に信じないように気をつけながら、楽しい旅をしてください♩