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8月11日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショーの『英国総督 最後の家』マスコミ試写会にお呼ばれしてきました。
インドは、1858年イギリス東インド会社の解散時にイギリス国王の直轄植民地となり、以来およそ90年間、1947年まで植民地支配下におかれていました。
この『英国総督 最後の家』は、イギリスの統治が終わるとき、現在のインド・パキスタンが生まれたときにことを描いたもの。
日本の約9倍という大国。多民族国家。宗教。
これらの強い要素をおさめる国を、たった6ヶ月で作らなくてはならない。
その主権譲渡という任務のために、イギリスはマウントバッテン卿を新総督に任命します。
家族で赴任してきたマウントバッテン卿。このご家族は、インドを下に見るのではなく、敬意を表して同じ人間として接します。
これまでの総督ファミリーとは違い、奥様自らキッチンへ出向き、西洋料理ではなくインド料理、誰もが食べられるベジタリアン食を作るように言います。子供の半数が5歳以下で死んでしまう状況。非識字率が92%ということなどに心を痛め、主権譲渡後のインドが、少しでもより良い国となれるように願います。
当時の宗教分布図↓
By John George Bartholomew – The Imperial Gazetteer of India, Oxford University Press, 1909. Scanned from personal copy and annotated by me (Fowler&fowler«Talk» 04:16, 19 March 2007 (UTC)), パブリック・ドメイン, Link
今後について話し合いは、代表者4名で行われました。インドの宗教・地域による文化の違いは深く、一方を立てれば一方が立たないというとても難しい状況。
それぞれが異なる意見を持っています。
独立反対!いや独立する!
話し合いは、うまくまとまりません。
そのころ一般社会では、噂や不安が蔓延し、市民同士による対立・虐殺がはびこっていました。この状況を打開するためにも、最善の策を、一刻も早く導き出さなければならないのです。
ガンジーやマウントバッテン卿の奥様は、分断は避けるように熱心に説得するのですが、独立案を採用することになりました。ムスリムの多いパンジャブとベンガルを分断します。
イギリス本国も、すんなり独立案を支援します。
さて、次に決めなくてはならないのは国境です。
これを決めるために、イギリスから一人の弁護士が呼ばれました。インドに初めて来た方が、たった一人が決めること。すごく驚きました!
やはり、決めることなんてできません。
そんなとき、マウントバッテン卿の部下が、ある秘密文書を渡します。
なんとそこには、数年前にチャーチルが書いた分断線が。そうです、この独立のシナリオは、すでに数年前から出来あがっていたものでした…。
政治という、庶民の暮らしとはかけ離れたところで行われている世界。
いろんな人の思惑・利権・展望。
パンジャブ地方とベンガル地方が分断されることになりましたが、そこにはヒンドゥーもシクの人々も暮らしていました。
マウントバッテン卿についた新人秘書ジートは、パンジャブ出身で、ムスリム、ヒンドゥー、シク教、お互いのお祭りを祝い、共存して暮らしていた思い出を話します。
もともと対立していた土地ではなく、共存していた土地だったのです。
しかし、独立・分断が決まると、インド人となるか、パキスタン人となるか、国籍を選ばなくてはなりません。自分だけでなく、家族がどちらを選択するのかも大切な要素となります。
マウントバッテン卿の館で、共に働くムスリム・ヒンドゥー・シクの仲間たちの間にも、不安・噂・信念などから、ふとしたことで衝突が起きるようになり、徐々に敵味方がはっきりしてきます。
ただでさえ難しい異宗教間の恋でしたが、イスラム女性とヒンドゥー男性は、一緒になることを望みます。でも、この状況でますます難しくなってしまうのです。果たして、二人は違う国籍になり離れ離れになってしまうのか?!
独立、そして国境の発表、1400万人もの移動…。
多くの死者を出し、多くの悲しみを生んだインド分断。
インドからパキスタンが独立し、平和になったわけではなく、現在も、インド・パキスタンの間には、一触即発の危うさがあります。数度の戦争もありました。
観終わると「分断していなかったら、どうだっただろう?」「イスラムが政権を担っていたら、どうだっただろう?」と、他の選択肢の行方を考えずにはいられませんでした。
どんな状況でも、宗教や民族よりも、お互いを一人の人間として見られる人もいて、自分もそんな人になりたいと思いました。
ぜひ劇場でご覧ください。
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