優しいインド青年と口のきけない迷子のパキスタン少女の、国境を超えた家探しのロードムービー「Bajrangi Bhaijaan」

インドとパキスタンの関係

インドとパキスタンの間には、印パ問題と呼ばれる大きな壁があります。

1947年8月15日。日本が敗戦した二年後のちょうど同じ日に、イギリスから独立を果たしたインド。
同時にインドとパキスタンに分離。パキスタンはイスラム教徒が多く住むエリア。当時はバングラデシュもパキスタン(1971年独立)。カシミール地方の領有権を巡り対立を続けている。

インドにいると、この問題について否が応でも耳にします。

「(政府の政策により)パキスタン人俳優たちがインドを追われた。」
「日本では仲の良かったパキスタン人でも、(繋がりがあると思われるとまずいから)インドでは絶対に連絡を取らない。」などなど。

国土分断時の悲痛は、武井壮さん出演でも話題になった「ミルカ」というインド映画でもよくわかります。(Amazon prime会員は無料で日本語版が観られます♩

そんな中、このバジランギバイジャンという映画は、二国間を友好に描いて大ヒットになりました。
友好的に描いて大ヒットになったということは、一人ひとりは仲良くしてもいいんじゃない?という気持ちが隠れているような、そんな気がしてうれしくなりました。

Bajrangi Bhaijaanのあらすじ

パキスタンからインドへ

口のきけない少女ムニ。
パキスタンの、スイスのような美しい山に、家族と共に仲良く暮らしていました。
家族は、ムニが話せるようになって欲しいと、インド・デリーにあるニザムディン廟へお祈りに行くことに決めました。(イスラム教徒にとって、メッカ、アジメールのダルガーに続き、ニザムディン廟は、人生で一度は訪れたい聖地なのだそう)

危険もあるであろうインドへの旅。でも、山の暮らしは豊かなものではないため、お母さんとムニの二人だけで行くことになりました。

無事にお祈りを終え、長距離電車に乗ってパキスタンへ戻る母子。
検問のため、国境で電車が停車します。お母さんが少しだけ眠りに落ちたすきに、外にいる子ヤギを追ってムニは電車を降りてしまいます。

ガタンガタンと、電車が動き出します!
声が出せないムニが、いくら心で叫んでも誰にも届きません!
小さな女の子が走っても、電車はどんどんと届かない場所へ。そして、国境を越えてパキスタンへ行ってしまいました。

後続の電車を見つけたムニは、その電車に乗り込みます。
しかし無情にも、その電車は折り返し、インド国内へ戻ってしまうのでした。
しかもそれは貨物列車。人が乗っていないので、壁を叩いても誰にも気づかれず停めることも降りることもできないのでした。

心優しいインド人青年と出会い、ふるさと探しの旅がはじまります。

デリーに戻ってしまったムニ。
そこで、サルマン・カーン演じる、信仰心の強いヒンドゥー教徒の青年パワンと出会います。
パワンは、ハヌマーンという猿の風貌をした神様を信仰していてベジタリアン。

付いてきて離れてくれないムニ。
困惑しつつも、優しいパワンは関わらずにいられなくなり…。

ここから、パキスタン少女とインド人男性二人の、故郷探しのアドベンチャーが始まるのです。

一緒に暮らすうち、少しずつムニのことがわかってきます。
クリケットの試合観戦中には、ムニが敵国パキスタン人だと判明!小さなムニは敵国というイメージはないので、無邪気です。
ノンベジタリアンでイスラム教徒だとわかったときは、衝撃と反感と困惑が広がります。

でも、結局ムニはムニ。宗教や国籍で区別しなければ、ただの一人のかわいい女の子ということは変わりがないのでした。
周りが猛反対する中、危険を顧みずパスポートもビザも持たずにパキスタンに渡る決意をします。

パキスタンでは、テロリストとして追われてしまいながらも、地名もわからないムニのふるさとを一生懸命探すのです。波乱万丈の先に、感動の親子の再会、そしてムニが…!

感動あり笑いあり。子どももかわいくて、なんど観ても楽しい映画です。
日本でも公開されるといいですね。それまではDVDでどうぞ。

まとめ

メディアという世界に発信できる手段を使い、パキスタン人もインド人も関係なく2人を応援するようになるさまや、環境や宗教ではなく一人の人間として認め合っていく姿は、未来への願いが込められているように思えてなりませんでした。

景色もすばらしくて「パキスタンも行ってみたい!」と思ったら、撮影はすべてインド国内だそうです。

YUMI TAMURA

アラウンドインディア 田村ゆみ。日本とインドを行き来しながら、暮らしに取り入れるアーユルヴェーダや元気の知恵を探っています。

インド政府認定アーユルヴェーダ・パンチャカルマセラピスト。ケララ伝統武術カラリパヤットゥ・セラピスト。元インド号編集長。ケララ州のアーユルヴェーダ病院PVA Ayurveda Japan日本代表。著書『暮らしのアーユルヴェーダ』

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