『ケララ秘伝
暮らしのアーユルヴェーダ』
伊藤武・田村ゆみ共著
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『アーユルヴェーダと〇〇 vol.1 パンチャカルマ基本編』田村ゆみ著
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インド号時代、はじめに作ったのが和綴じのZINEでした。
続いて、印刷会社で刷ったインド旅の『India is』シリーズや、現在もAROUND INDIAで販売している『暮らしのアーユルヴェーダ』などを作りました。
インド号時代の相方は、デザインがとても上手なのです。
つづいて『ケララ秘伝 暮らしのアーユルヴェーダ』では、出版社さんから出していただいたので、編集は奥村さん、装丁はデザイナーさん、そしてイラストやコラムは伊藤せんせいと、精鋭たちとの共同作でした。
今回は、ひとりで本作りをしてみました。
とはいっても、フィードバックや文章の校正は何度も何度もお手伝いいただきました。
いま、わたしの周りには本づくりをしたいという人が多いので、参考まで、わたしが行ったこと、ツール、役立った本などを記録しておきます。
まず中身です。わたしは元々講座用にまとめた資料を本という形にしたいというのがあったので、今回はその資料に加筆修正しました。
中身をつくるとき、以前リトルモアの編集の方から「まずは目次を作ってみるといいですよ」と教えていただきました。
中身づくりに使ったソフトはScrevener。
わたしはMacで使っていますが、iPadとiPhoneで使えるiOS版もあります。残念ながら、別々に購入が必要です。Windows版もあります。本家サイトは英語なのですが、非公式の日本語解説サイトがあります。
ちょっと高いのですが、サブスクリプションではなく買い切り。目次をつくってから、中身を入れていったり、文書内にリンクをつけたり、カード上に並べて順番を入れ替えたり、参照文献や画像など、必要なものをひとまとめにできるので便利です。
Screvenerを使わずとも、Wordやテキストエディタ、Google ドキュメントなどで大丈夫です。
ちなみに一緒に作業する人の環境に合わせ、『ケララ秘伝 暮らしのアーユルヴェーダ』ではWord、『暮らしのアーユルヴェーダ』ではmiというMac用のテキストエディタを使用しました。
ここまでで決めおきたいのが、印刷方法、印刷会社です。
AROUND INDIAはindesignでの作業を進めてからやってしまったのですが、絶対にその前に決めた方がいいです。
当初リソグラフという印刷方法を使いたいと思っていたので、「生活綴り方」のリソグラフ講習を受けに行きました。自分で刷って、製本する方法で、慣れないデータ作りはむずかしそうだけど、とっても楽しい。
でもページ数の都合で「生活綴り方」さんの製本方法は使えなくなってしまいました。
次に考えたのが、リソグラフの印刷所にお願いすること。
レトロ印刷JAMでは、ページ数はクリア。できあがりを想像してワクワクしていたのですが、indesignのデータでは入稿できず、illustratorで、60ページ分を1ページずつ、1色ずつ……と失敗せずにデータを作るのは、さすがにハードルが高すぎるので断念。
最終的に、名刺の印刷などでお世話になっているグラフィックにお願いすることにしました。
印刷会社を選ぶなかで、Indesignで入稿する場合は使用できるフォントが限定されているなど制約があることがわかりました。
印刷会社を決め、その会社が指定するテンプレートや、データ作成ルールに則って作成するのが早道です。
誌面作りには、Adobeのindesignという組版ソフトを使いました。
誌面をどうするか考えるために、好きな本を何冊か並べて見比べたり、計測したり。
本屋さんや図書館で、気になった本、好きな本、読みやすい本の理由を考えました。
結局、既刊2冊と同じく、『アーユルヴェーダと〇〇』もA5サイズにしました。
そして、縦書き、右綴じに決定。余白はどのくらいで、文字の大きさはこのくらいにしてとベースを作って、そこにテキストのデータなどを流し込んでいきます。
Indesignはまだまだ勉強中で、チラシなどの1ページのものは作ったことがあったのですが、一気に約60ページの冊子を作れるのかなと思いましたが、なんとかなりました。
参考にした本。
チュートリアルサイトも活用しました。
デザインや加工の技術も鍛えたいと思い、Adobeが無料で開催している「ことはじめクリエイティブカレッジ」のIllustratorコースを受講しました。定期的に開講されているもので、Illustratorコース 第6期は3000名限定で抽選でした。
こちらも本当に受けられて良かったです。最新のAI活用など便利なテクニックを伝授してもらえたり、色やデザインなどの基礎、練習の積み方なども学ぶことができて、すごく勉強になりました。
卒業制作で校章を制作するというものがあったのですが、そのレビューの授業中「見覚えがあるなぁ」と思ったら、わたしが制作したものが取り上げられていたのです。
冊子制作中のタイミングで第一線で活躍するプロの先生からお褒めの言葉をいただいて「正解はない。とにかく作り上げよう!!」と気合が入りました。
有料会員でなくても受講できます。
『なるほどデザイン』は何年か前に購入して「いい本だなぁ」と思っていたら、著者の筒井美希さんは、Adobeクリエイティブカレッジの講師をされていました。講義も受けられて理解が深まりました。
デザイナーズハンドブックは、文字や色、加工、印刷までわかりやすく幅広く学べる良著です。
フォントに悩み、文字のルールに迷い、見出しなどのあしらいに詰まり、どんどんハマっていきました。そんなときに役立った本。
写真の加工には、adobeのPhotoshopとLightroom Classicを使いました。
こちらはオプションです。AROUND INDIAもこれまで『暮らしのアーユルヴェーダ』緑版にはつけずに販売していました。それでも本屋さんでもお取り扱いくださっていたのでつけなくても大丈夫です。
ただ今回Amazonでも販売できるようにしたいと思いました。
そのためにISBNという世界共通のバーコードが必要になりました。
それならばと、書籍JANコードという日本で流通する際のバーコードも付けることにしました。
出来上がったバーコードがこちら。
日本図書コード管理センターで、出版者として登録しました。
1冊、10冊、100冊など、ご希望の発行冊数に合わせて申請します。
せっかく付いたバーコードでしたが、Amazonの出品者用の登録サイトがおかしくなってしまい、現在先方に対策を講じていただいているところ。Amazonで販売できるようになるまでは、ちょっと時間がかかりそうです。
うっかりしてしまうところでしたが、このISBNは決められた形で付与していくのですが、コードを決めた後、JPRO(Japan Publishing Organization for Information Infrastructure Development)というところに、書籍情報を登録します。(有料)
そうすると、ネット上で書影や書籍の内容、著者、出版社などの情報が検索すると表示されるようになります。
まずはJPROトップページ→新規利用についてから、利用者として登録申請します。
自宅でカラー印刷して冊子にし、自分では気づかない部分を指摘してもらうために、数名に何度も読んでいただき、間違いやわかりにくい箇所を訂正していきました。
紙選びは「生活綴り方」森岡さんにおすすめいただいた竹尾のショールームに足を運んだり、デザインの引き出しや、グラフィックの紙見本などを参考にして、表紙には手触りで少しナチュラルな感じを得られる厚めのアラベールを採用しました。
『デザインのひきだし48』は、竹尾などの紙サンプルいっぱいで構成されていて楽しいです。
そうして最後は依頼する印刷会社グラフィックの入稿マニュアルに沿って、データをPDFに変換して入稿!パチパチ。
手元に冊子になって届くまでは「あのデータで大丈夫だったかしら?」「本の開き具合はどうだろう?」「写真の色や粗さは大丈夫かな?」とドキドキ。
でもこうして『アーユルヴェーダとまるまる』vol.1パンチャカルマ基本編は無事立派に完成しました。万歳!
ご購入いただけるとうれしいです