『ケララ秘伝
暮らしのアーユルヴェーダ』
伊藤武・田村ゆみ共著
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『アーユルヴェーダと〇〇 vol.1 パンチャカルマ基本編』田村ゆみ著
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「ヒマラヤの聖者が、数年に一度、山から降りてくるクンブメーラというお祭がある」
10年ほど前、まだ北インドに行ったことがなかったAROUND INDIAにとって、ヒマラヤは、南インド・ケララ州から電車で3日かかる遠い遠い山で、ヨガの先生から「カイラス山がすごい」という話を聞いていました。
ヒマラヤにヨガの聖者がいるという話は聞いていましたが、山からワラワラと降りてくるという光景はよくわかりませんでした。
2019年のインド旅では、ガンジス川ほとりの聖地バラナシ / Varanasi(ヴァーラナシー、ワーラナシー)に行くことにました。
するとインドの友人から「近くのアラハバードで、クンブメーラやってる」と情報をもらいました。(発音は、クにアクセントをおいたクンメラという感じでした)
バラナシ空港から宿へ向かうタクシーで、ドライバーさんにクンブメーラについて尋ねると、
「今回のお祭り期間中、もう4回も外国人のお客様を案内した」
とのことで、わたしも連れて行ってもらうことにしました。
クンブメーラは、4つの土地で持ち回りで行われているのだそう。
4つのうち、今回伺うプラヤーグラージ(旧名:アラハバード)は、聖なる川が三つ合流する最も重要な土地とされているとのこと。
1〜4で、それぞれ3年周期でクンブメーラが開かれていて、大きなクンブと小さなクンブがあります。
今回AROUND INDIAが訪れたのは、プラヤーグラージで行われたアルダクンブメーラという、小さなクンブ。
説明がむずかしいので、wikipediaからスケジュールを拝借しました。
上のCriteria for determining datesが、行われる時期。ヒンドゥーカレンダーに準じます。
下のPast datesが、1980年から2022年までの開催地です。
プラヤーグラージでは行われるのは、6年に一度。次回は2025年。大きいクンブです。
その次は2031年で、小さいクンブ。このように繰り返すのです。
1回のクンブメーラは、約50日間続きます。
期間中は、重要な日に大勢が集まります。ヒンドゥーカレンダーに準じます。
ヒンドゥー教徒たちは、クンブメーラに来て、沐浴して罪を流したり、聖者や苦行僧のお話を聞いたり、祝福をいただいたりするのだそうです。
朝、車でバラナシを出発。
途中チャイを飲んだりしながら、3時間ほどでプラヤーグラージに到着。
お昼に沐浴タイムがあるので、その前に到着するのがオススメなのだそうです。
橋に差しかかるとドライバーさんが「見て!あれがクンブメーラだよ!!」
その指がさす方向に目をやると、見渡す限り、全ての景色がクンブメーラでした。
想像をはるかに超える大規模…。これが小さいクンブなんて!
インドすさまじいです。
政府の無料バスも続々と到着し、わらわら人が降りてきました。イスラム教徒の姿も。
会場内も人・人・人。
広大な敷地に、無数のテントが建てられていて宿泊もできます。
大きなアーユルヴェーダ病院、学校、食堂、消防署、マーケットまで。
各所に警察がいて、オートリキシャが走っています。
これはもう、お祭というより「期間限定の街」!
車を駐めて、沐浴場へ。
ガンジス川、ヤムナー川、幻のサラスワティ川という3つの川が合流する地点へと、たくさんの船が向かっていました。
親族一同で来ていたり、町などのコミュニティで来ていたりと、さまざまなグループが点在。
年齢も、赤ちゃんからお年寄りまで幅広く、こんなに大勢の暮らしを覗かせてもらうのは楽しくて仕方がありませんでした。
濡れたサリーを広げて干す。まるでサリーの品評会!
それを「まったく!だから、広げちゃダメだってば」と言わんばかりに、棒で蹴散らす警察官。
人前で隠しながら着替える方法、サリーの着方、オイルマッサージ、体の洗い方、洗濯などなど。
簡易更衣室も用意されています。
車に乗って対岸へ移動してみましょう。
とにかく広いです。歩きでじっくり見ていたら、いったい何時間かかるのかわかりません。
アーユルヴェーダを学んだ南インド・ケララ州では見かけたことがなかったサドゥー!
数年前インドの友人から、クンブメーラ後に都市に移動した裸のサドゥーが、大鍋から食べ物を配っている写真を見せてもらったことがありました。
食べ物を配るという光景と裸、違和感のある組み合わせにビックリ。
その裸のサドゥーたちが、今この目の前に!
一瞬、どう接していいものかたじろぎましたが、ヒンドゥー教徒でありクンブメーラ経験豊富なドライバーさんが、その都度教えてくれたので助かりました。
裸のサドゥーは、ナガサドゥ naga sadhu とかナガババ naga babaと呼ばれています。
目があうと「おいで、おいで」と手招きしてテントへ呼んでくださいます。
近寄ると、頭に手を置いて祝福してくれたり、食べ物をくれたり、写真を撮らせてくれたり、泊まっていったらと滞在を促してくれたりと、とてもフレンドリーでした。
裸じゃないサドゥーも。
孔雀の羽を頭につけたサドゥーは、フルータリアン(果物食)なんですって。
バイクや車に乗っていたり、スマホを持っていたりするのもビックリ!電車は無料らしいです。
大通りを歩いていたら、ナガババの集団がこちらへ向かってきました。
集団の中から、ずんずんと勢いよく向かってくる一人の若いナガババ。
「え?!なに?なに?!」と思っていたら、わたしの頭を両手で抱えワワワワーっとなにかしました。
耳元では「オームなんちゃら…」のような何かマントラのようなものを囁いて、来た時と同じようにワァーと去って行きました。
まるで嵐のような、よくわからない一瞬のできごと。
少ししてお手洗いに行きたくなりました。
不思議な感覚がして、見たことのないもの、お花の形のようなものが出ました。
「ナニこれ?!スッキリしたから、まぁいいか」という感じでしたが、ひょっとしたら、あの “頭をワワワとやったサドゥーさん”は、治療か何かが得意な方だったのかもしれませんね。
インドには多種多様な人が暮らしていて、日本だとすごく不思議に感じていただろうことが、結構起こります。
それまでの私の常識が、訪れるたびに更新されます。
お腹が空いたら食堂でも食べられます。
テントが立ち並んでいたナガババ通りから一変、聖者のアシュラム通りは大規模でした!
クンブメーラ の48日間 のためだけに建てられた、巨大な張りぼてが見事でした。
立派さの象徴。信者数の象徴なのかもしれません。
聖者の写真を見て、ドライバーさんと「ここはこの方のアシュラムなんだね」と話していると、周囲が騒々しくなり、ご本人が登場。
テロを警戒してなのでしょうか、かなり厳重なセキュリティでした。
自然素材でできた、巨大アシュラムもありました。
聖者の写真を発見したと思ったら、またまたご本人が登場。こちらのアシュラム内は、セキュリティは緩やかでした。
日本人のヨグマタという聖者のアシュラムをおすすめされたので行ってみました。本も出している有名な方なのだそうです。
ヨグマタご本人はいらっしゃいませんでしたが、大きな看板が立っていました。
他の聖者がいらっしゃいました。パイロットババさんという方のようです。
ひとしきり回った後、ドライバーさんの顔を見ると額に印がついていました。
「えー、いつの間に!いいなー」と言ったら、「自分だって付いてるよ」と言われてビックリ。
写真を撮ってくれました。
クンブメーラ、とっても楽しかったです!
何度も来ている外国人に、おすすめされた持ち物です。
朝晩はかなり冷え込むそうです。
宿泊する人は、厚手のブランケット、ダウンジャケットなどを用意しましょう。
ブランケットは、クンブメーラでも売っていました。
雨が降ると、道がドロドロになるので、長靴があった方がいいそうです。
昼間は裸足で大丈夫でも、夜になって冷え込んでくると、裸足でドロドロだとかなりキツイとのことでした。
AROUND INDIAが訪れた日は、カラカラに乾燥した暑い日。
砂埃が激しかったので、時々水が撒かれていました。水を撒いた後の道はドロドロになっていました。
歩きやすく、コンパクトに畳める長靴が便利だと思います。
AROUND INDIAが訪れた日は、かなり強烈な日差しでした。
1日中外を歩き回ると、かなり体力を奪われます。
サングラス、帽子、日焼け止めなどで、防御しましょう。
あと、水も持ち歩くのがおすすめです。
クンブメラに慣れたドライバーさんが付き合ってくれたので、わたしが危険を感じることは一度もありませんでしたが、サンスクリット語の博士など現地の外国人たちから事前にかなり注意喚起されました。
どんな危険があるのか、教わったことをシェアしておきますね。
最近は警察が多く見張っているので昔ほどではないが、いい人ばかりではない
ナガババの中には、大麻などを使っている人もいるが、インドでは宗教上認められている。
中には大麻でない何かわからないものを試してしまった結果、意識を失い、パスポートや衣服など全ての金品を失って、精神がおかしくなってしまった外国人女性もいた。
精神がおかしくなってしまった彼女は、他の外国人たちの助けでなんとか帰国させることができたそう。
その後は不明です。
注意すべきは、盗み、痴漢/性的被害、クスリですって。
安全に楽しんでくださいね✨