『ケララ秘伝
暮らしのアーユルヴェーダ』
伊藤武・田村ゆみ共著
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『アーユルヴェーダと〇〇 vol.1 パンチャカルマ基本編』田村ゆみ著
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上智大学で、インドのマジシャン Muthukadさんの来日を記念したイベント Magic of Loveが開催されました。
日本在住の南インド・ケララ人向けのイベントだったのですが、AROUND INDIAはケララでの活動や新しく刊行した本のお話をさせていただきました。
現地のみなさまのご協力なくしてはできない活動なので、このような機会をいただいて、すごくありがたいです。
上智大学の理事長 Sali Augustine神父と、インド大使夫人 Joyce Sibyさんに本をプレゼントさせていただきました。
9月にお世話になったドクターから、マジシャンのムトゥカドさんは、マジックを教えることで、障害のあるこどもたちを治しているとアーユルヴェーダドクターから聞いていました。
AROUND INDIAは、おいしくて簡単なお薬が好きなので、マジックがトリートメント、そして薬になるなんて、とてもステキだなとワクワクしました。
しかし実際お会いして、そのお人柄と活動を知り、そんなものではなくとにかく感動しました。。。
障害のある子どもたちは、社会から疎外され、家の中に隠されているケースが多いのだそうです。
裕福な家庭であれば、小さい頃に手術を受けたりすることができても、貧しい家庭ではそうはいかず、隔離され、教育や治療を受けられず改善の機会を失っている可能性が高まります。
そのような環境下の子供たちを積極的に受け入れる Different Art Centerを創立したのが、ユニセフ大使も務めるMuthukadさんです。
2019年には、ケララ州知事が「障害者に優しい州に変える」と正式に発足させました。
Muthukadさんは、元々華やかなマジックの世界で大活躍されていて、鍵をかけた箱に入り、急流に流され、そこから決死の脱出劇をするなど、世界的な賞も受賞した約45年のベテラン・マジシャン!
そのまま進むことができたにも関わらず、障害のある子どもを持つ親たちが直面する困難を目の当たりにし、マジックを子供たちの支援に使うことにしたのです。
Different Art Centerは、よくできた施設です。
子供たちにマジックを教えたり、音楽、アート、インド舞踊などを教えたり、手足を動かし、五感を刺激します。
子供たちが、家の中で過ごしていた時から、明らかに表情が変わり、仲間の見せるものをニコニコと眺め、ワクワクしているのです。
そして全面的にMuthukadさんのことが大好きなのが伝わってきます。
すごくいいなと思ったのは、その施設自体が楽しそうなテーマパークのような造りということ。
フンデルトワッサーの子供病院のように、カラフルだったり、楽しそうな空間の方が、いる人もうきうき心があがり、訪れたくもなるものです。
ここでは、教えるだけではなく、続いての段階として訪問者たちに披露します。
披露し賞賛をもらうことで、自信がつく。
この自信がすごく大切だとおっしゃっていました。
障害がない人だって、同じですよね。子供だけでなく、大人だって。
「おいしい」「すごい」「上手」など褒めてもらったり、喜んでもらえたらうれしい。
もうちょっとがんばってみようかな。これも試してみようかなとモチベーションが上がります。
そして次の段階として、実際にプロとして活動する。
自分の力で収入を得て、生きていけるように。
Different art centerのプログラムは、最近の研究によって、なんと全員の日常生活の能力が大幅に向上していることが明らかにされています。
成果は、傍目にもあきらか。
今回一緒に来日していたヴィシュヌさんは、実際にマジシャンとなったひとり。
もともと、脳性麻痺と知的障害があり、物を持つことも話すこともできなかったそうです。
しかし今では、スーツをシュッと着こなし、堂々と舞台に立ち、みごとに鳩を出したり、人を中に浮かせたりするのです。
震える手をコントロールしながらの、絶妙な手捌き。
マジックを終え、絶賛の拍手が湧き起こりました。
ヴィシュヌさんはムトゥカドさんの方に顔を向け「サンキュー」と口を動かしていたのが見えました。
師弟愛。
観客から「日本のマジシャンにやりかたを教えることは考えていますか?」というような質問があがりました。
「彼らは、こちらが簡単に思えることをやるのも大変で、ずっと付いていなくてはならないのです。」
師弟であり、家族のような関係で、子供たちを丸ごと受け入れているのです。
ヴィシュヌさんがマジックをする様子を、注意深く見つめていました。
科学や医療の面ではミヌさんがサポートし、政府も積極的に関わるなど、しっかりとしたチームで活動されているから、そういうのいいね、作ろう!教えてみよう!という形だけでは到底できない壮大なものなのでした。
これは、インドの伝統的な弟子入り文化(グルクラ Gurukula)と同じようなものだと思いました。
師匠は、弟子の進捗を見極めながら、失敗した時は見守ったり、緊急性があればすぐ直したりしながら、導いていく。弟子は師匠を信頼してついていく。
次は、ケララ州北部カーサルゴードに、世界初のマジックをテーマにしたテーマパークづくり目指しています。
プールでハイドロセラピーを受けたり、動物たちと接するアニマルセラピーをも合わせた施設。
より多くの子どもたちが、学び、体の障害を減らし、活躍できるように。
支援にご興味がある方は、こちらのページからどうぞ。
寄付したお金は、食事、奨学金、トレーニングなどに役立てられています。
ムトゥカドさんは、現在59歳。
これほどのことを、ひとつの人生で成し遂げていること自体がマジックに思えてなりません。
新たな試みが早く叶い、多くのこどもたちが明るい世界に出てこられますように。