
『ケララ秘伝
暮らしのアーユルヴェーダ』
伊藤武・田村ゆみ共著
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『アーユルヴェーダと〇〇 vol.1 パンチャカルマ基本編』田村ゆみ著
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アーユルヴェーダには、伝統と革新が入り交じっています。
AROUND INDIAは基本的に伝統好き。
若い人たちから「古くさい」と言われることもあるのですが、伝統は歴史という裏付けがあります。
一方、新しく生み出されたものは、まだ良いか悪いかわからない。画期的なものかもしれないし、定番になるかもしれない、でもまだ試行錯誤の段階にあると思うのです。
先日、やっぱり伝統が好きだと再確認する出来事がありました。
アーユルヴェーダのトリートメントには、純粋な治療目的のものだけでなく、授業のためや、ニーズに合わせて作られたもの、他施設との差別化のために存在しているようなものもあります。
わたしが授業であるトリートメントを教わったとき、その手技ができる人はたった一人セラピストのAさんだけでした。
他のトリートメントとは少し違っていて、まず患者さんにどのようなものか説明し、患者さん側に求めることなどを15分ほどかけて説明します。
この説明に必要な知識を得るために、手技を教わる前に、数日間の座学がありました。
説明をしたら、アーユルヴェーダオイルを用いた全身のトリートメントでリラックスしていただき、その後、セラピストと患者が呼吸をあわせ、時にマントラを共に唱えるなどしながら、トリートメントします。
終了後はぐったりするので、1時間ほど暗いところで休むまでがセットです。

手技は、別のトリートメントと共通している部分もあったので、教わった翌日に試験という強行スケジュール!
それでも、モデルを務めてくれたセラピストBさんは、そのままぐったり動けなくなり、しばらく休んでもらいました。
これは、わたしの技術うんぬんではなくて、Aさんに教わって手順通りに行えば、そのような反応を起こすトリートメントだったのだと思います。
Aさんの退職後、そのトリートメントを受けてみると、別ものになっていました。
きっと誰もが担当できるように調整されたのでしょう。英語話者でないとむずかしかった説明や、オイルマッサージ、呼吸やマントラもなくなっていました。
さらに、新設された専用トリートメントルームの電子機器が不調のようで、時おり「ピコーン!!」と大音量が響き渡り、その度にビクッとしました
タイミング・環境・ひと。構成する要素が変われば、そこから生まれる体験も変わります。
わたし自身も変化しているのですから、過去と同じものを期待するのは無茶なことかもしれませんね。
でも知っておいてほしいのは「アーユルヴェーダの本場ケララだからといって、すべてが伝統的ですばらしいものとは限らない」ということです。
何十年、何百年と実践され続けてきた伝統的な治療。それは、セラピストたちが毎日繰り返し、その本領を最も発揮できるものです。
新しいものも必要だけれど、わたしはやっぱり伝統・治療目的のものに惹かれるなぁと、改めて確信した出来事でした。